うちの子流~発達障害と生きる

発達障害を持つ子供たちとの日々をつづります。

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不安の強い子

自閉症スペクトラムの息子は受動型と呼ばれるタイプです。

大人しく指示通りに動くので迷惑をかけたり人の手を煩わせるようなことはほぼありません。

しかし指示が具体的でないと理解しにくい、困ったことがあっても人に助けを求めることが難しい、緘黙傾向があるなど集団生活の中では本人が困っていることが多々あります。

そして不安な気持ちがとても強くひとりで不安をどんどん膨らませてしまう子です。

息子は情緒の支援学級に通っています。

理解ある素晴らしい先生方に恵まれ今のところは楽しく学校へ通っています。

 

一月ほど前、息子が「先生に借りた赤鉛筆を返し忘れた。どうしよう・・」と言ってきました。

「正直に返すの忘れていました、ごめんなさい、って言えば大丈夫だよ。明日返そうね。」と言っておきました。

ところが、昨日になって「赤鉛筆先生に返してないままなの・・」と泣き出したのです。

話を聞くと借りたえんぴつを返す時は削って返すルールで、借りたえんぴつが少し細く家の鉛筆削りでは形が変わるので学校で削らなくてはならない、削っているところを見られたらその時点で叱られるのではないかと思うと出せない、結局返せないままであるとのこと。

時間が経てば経つほど言い出しにくくなりずっと筆箱の中に隠したままだったのです。

そっかぁ、ずっと言えなくて苦しかったね。よく母さんに言ってくれたね。

「僕ね、考えたんだ。普通の鉛筆をわざと忘れて先生に借りて返す時に一緒に赤鉛筆を返す。」

それはどうかな。先生をだますことにならないかな。嘘に嘘を重ねたら先生はどう思うだろう?自分もしんどくない?

「うわ~~~~~~ん」

激しく泣きだしおぇおぇとえづき始めます。息子は小学生になった今でも泣くとすぐ吐き戻してしまうのです。

もしも自分がなにかをされて嫌な気持ちになった時に、相手が先に言い訳をする人、嘘をつく人だったら許す気持ちになれるかな?

「ううん」

じゃ、正直にすぐごめんなさいって言う人なら許せるかな?

「うん」

じゃ、正直に先生に赤鉛筆を返すのを忘れててごめんなさいって言った方がいいんじゃないかな?

「できない~~~言えない~~うわ~~~ん」

失敗は誰でもすること、でもその後にどう対処するかで人の印象は大きく違うんだよ。母さんも手伝うから一緒に作戦を考えよう。

作戦その1、そのまま知らん顔しておく

作戦その2、嘘をついてお芝居をする

作戦その3、母さんが一緒に行って先生とお話した後にごめんなさいって返す

作戦その4、母さんが先生にお手紙を書いて読んでもらった後に返す

どれがいい?

「母さんが一緒に行くのは嫌だ」

学校に母さんがついて行くのは恥ずかしいの?

「うん」

ということで作戦4を息子は選びました。

でも実際にシュミレーションしてみると先生がいつ手紙を読んでくれるかがわからないことが判明し、朝の登校にくっついて行かず時間差にして作戦3に切り替えました。

それでも息子の不安は止まりません。

「先生に叱られたらどうしよう」

先生に叱られたことがあるの?

「ううん、でも他の人が叱られているのは見た」

たぶん先生が君にきつく叱ることはないと思うけどももし叱られても自分がやってしまったことなんだからそれは仕方がないと思って受けなさい。

でも先生はその後もずっと君のことを嫌いになったりするようなことは絶対にないから大丈夫。

「でもわからないよ~~うわ~~ん」

じゃ、もしこのことで後になっても君のことを嫌っていやなことを言って来るような先生ならもうそんな学校は行かなくていいから。絶対に守るから。

「・・・わかった」

やっと納得してくれました。

担任の先生は息子の特性をよくわかって下さっているので息子にきつく叱ることはないのですが支援学級ですしクラスの中では別の対応が必要な場合も多々あります。

それを見て余計に強い不安が出たのでしょう。

息子は今の担任の先生が大好きです。その分嫌われるのも叱られるのも怖いのです。

その夜は不安で眠れなくなるだろうと頓服でもらっていたリスパダールを飲ませて寝かせました。

 

息子は普段から気になったことを考えると不安で不安で眠れなくなります。

ダニアレルギーとハウスダストアレルギーを持っているので、夜布団の中に入るとこの中にダニがいて今でも動いていて寝ている間に僕の口や鼻の中に入ったらどうしようと妄想が広がって眠れなかったり、

手についているばい菌や空気中のホコリなど考え出すと不安が暴走します。

他にも色々と考えすぎて辛くなることが頻繁に起きてしまいます。

このままストレスを貯めると二次障害で強迫神経症になりやすいタイプではないかと心配になります。

なので出来るだけ息子の不安には納得がいくまで丁寧に付き合おうと心がけています。

息子がうまく不安と付き合えるようにと買った本がこれです。

だいじょうぶ 自分でできる心配の追いはらい方ワークブック (イラスト版 子どもの認知行動療法 1) (イラスト版子どもの認知行動療法)

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  • 作者: ドーンヒューブナー,ボニーマシューズ,上田勢子
  • 出版社/メーカー: 明石書店
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 今では息子の愛読書で眠れなくなると繰り返し読んでいます。

心配モンスターを育てない方法、やっつけ方、リラックス法などワーク形式でひとつひとつ取り組めるようになっていて、自分の中の不安を上手に飼いならすためのテクニックがわかりやすく書かれています。

 

 これも追加で購入した方がいいかな?と思っています。このシリーズは娘に怒りのものも持っていますがとてもよくできているなぁと思います。

だいじょうぶ 自分でできるこだわり頭[強迫性障害]のほぐし方ワークブック(イラスト版 子どもの認知行動療法 3) (イラスト版子どもの認知行動療法)

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  • 作者: ドーンヒューブナー,ボニーマシューズ,上田勢子
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 眠れないんですよね。なかなか。

だいじょうぶ自分でできる眠れない夜とさよならするワークブック (イラスト版 子どもの認知行動療法 5)

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  • 作者: ドーン・ヒューブナー,ボニー・マシューズ,上田勢子
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翌朝、やはり学校に行くのに気が重いのか朝の支度はぐずぐずでしたが何とか登校。

「かあさん、今日来てくれるんだよね?」

一緒に行くのは恥ずかしいと言いながら不安タップリです。

息子が学校で支度をしている頃に教室へ行き先生に経緯を話しました。

その後息子に返しに行って来いと声をかけました。

もじもじしながらなんとか返すことが出来たようです。

返し終わった後、半ベソをかいた顔で出来たよと報告に来ました。

プライドが高いので学校では泣きません。

たったこれだけのことでも息子にとっては大問題でとても勇気のいる事だったのです。

よく頑張ったと褒めて学校を後にしました。

帰宅後の息子の顔はすっきり晴れやか。

よかったね。これで気持ちが楽になった?

「うん!」

 

実は私自身も子供の頃に息子と同じような不安で眠れない日々を過ごしていました。

私の場合は人間が生きる時間は限られていて時計の秒針の音が聞こえる度に死に近づいていると思うと怖くて眠れなくなってしまったのです。

布団の中で秒針の音に震えつつ死ぬときのことや死んだあとの妄想に取りつかれ何時間も不安に耐えていました。

その後摂食障害を起こしてしまった経験もあり慎重な対応が必要だと感じています。

 だから息子の気持ちはなんとなくわかる気がするのです。

 

そして昨夜、今度は先日の運動会で使ったはちまきが見つからないと泣きはじめました・・・。

洗って学校へ返すことになっており、洗濯してから息子に手渡していました。

それをどこに置いたかわからない。家の中を探しましたが見つかりません。

仕方がない。それを正直に先生に話しなさい。

「先生今度は怒るかも~~出来ない~~」

先生今日なんて言った?叱られなかったでしょ。

「見つけた時にいつでもいいから返してねって言ってたから失くしたら怒るかも」

あぁ・・見つけて返す時は怒らないけども失くした時については言ってなかったからわからないのです。

息子は状況や前後の文脈から想像するなど応用が効きません。

それに二日続けて問題を起こすとさすがに叱られると思っているのです。

前日と同じくどうしたらいいと思う?の問答が始まりました。

困っていると息子は言葉が出にくくなるので選択肢を用意して手を上げて意思表示を行います。

結局、自分で直接言うのはまだハードルが高いので先生に自分で手紙を書いて渡すことにしました。

「なんて書いていいのかわからない~~(泣)」

息子は作文が苦手です。私が文章を書いて写させました。

『〇〇先生へ 運動会のはちまきを失くしてしまいました。ごめんなさい。見つけたらすぐに持ってきます。』

今日はこの手紙を自分で渡して先生に謝ってくるミッションです。

もしどうしても自分でできなかったら翌日カーチャンサポート出動予定になっています。

さて、今日はどんな顔をして帰ってくるのかな?

 

息子にとっては困ったことを人に話すことからハードルが高く親である私にもなかなか話してくれません。

苦手であるにもかかわらず自立心も強く自分で何とかしようとしてしまいます。

以前にこんな事件もありました。

nanaio.hatenablog.com

 この時の告白は事件後1か月です。

なかなか話してくれないのはずっと前からで幼稚園でもたびたび似たようなことが起きていました。

人に助けを求めることの大切さをわかって欲しくて必ずなんとかすると先生と協力して何度もうまく行った体験を積み重ねるようにしてきました。

それでも未だ難しいようです。

持って生まれた性質なのでそう簡単には変わりませんが、いつか成長とともに自分で折り合いが付けられるようになってくれればいいなぁと思っています。

親として出来るのは様子をよく見て手助けが必要な時はいつでも頼っていいんだよという姿勢を見せ続けることしかありません。

 

息子とは逆に娘は自分で出来ることでもメンドクサイと思えば即「出来ない!!やって!!ぎゃー!!」の人なので自分で出来ないことは手伝うけど出来ることは手伝いませんのスタンスで対応しています。

それを見てきた息子が余計に自分で何とかしようと頑張ってしまいます。

どちらも発達障害児ですが性質的に正反対の子供達。

足して2で割りたいってしょっちゅう思いますがそうはいかないですね><

性質が違えば対応も当然違ったものにしていかなくてはならない

そうすると不公平感が当然出てくるのでそこをどう納得させていくか

ここも考えながら対応していかなくてはなりません。

誰でもやってきたことといっても親業も奥が深く難しいなぁと感じます。

まだまだ修行です。

 

大人に比べて子供達から見えている世界は本当に狭く小さいもので

その中で起きた事件は大人が感じるよりもはるかに大きな出来事で

精いっぱい考え小さな体で毎日がんばっています。

その見える世界を広げる手伝いをしていけたらいいなぁと思っています。

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