うちの子流~発達障害と生きる

発達障害を持つ子供たちとの日々をつづります。

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苦手なことへの取り組み方 スモールステップ実践例

受動型で不安の強いタイプの自閉症スペクトラムである息子は自分で出来ると自信がない限り、なかなか新しいことに挑戦しようとしません。

得意なことがある反面、苦手なことも数多く抱えています。

今でも苦手なことは色々とあるのですが、ちょっとした工夫ですごく苦手だったことがあっさり出来るようになったことがありました。

息子のような特性だと、本来出来る能力を持っているのに不安や自信のなさから避けたままのことがあります。そういう場合にはとても有効な方法だと思います。

ADHDの娘にも、やる気がないとき、興味を持ちにくい新しい概念を学習するときなどに使っています。

苦手で出来ないことにも理由は様々。感覚過敏や学習障害など特性が大きく絡んでいることは、その原因に対してのアプローチが先になります。

小さいお子さんや特性によっては自分の困難を言語化しにくい場合も多いので、原因を探ることはなかなか大変ですが、スモールステップで手順を細分化していくとどこで躓いているのかが見えやすくなります。

躓きポイントがわかればそこから原因も探りやすいですし次の対応につなげられます。

 

小さい時の息子は人のいる遊具に近寄ることもできず、一人で遊んでいたところにたくさんの子供たちがあとからやってきて遊具の上で身動きが取れず泣き出したこともありました。

ブランコ、滑り台などは好きだったのですが、なぜか鉄棒だけは人がいなくても全く近寄ることが出来ませんでした。

触ったこともない、もちろん失敗したり怖い体験をしたわけでもないのになぜか絶対に近寄りません。

就園前に通っていた母子通園のデイサービスで公園に遊びに行った時に、鉄棒にぶら下がってみようという課題が出されました。

当然嫌がりましたが、抱きかかえて無理やり鉄棒を握らせただけでした。

(今から思えば無理やりというのはよくない対応でした・・)

そんな鉄棒キライの息子でしたが年中(4歳児)の時に通ったグループ療育で、なんとあっさりと苦手をクリアでき、その後鉄棒大好きに変身した経験があります。

「うちの子、なぜか鉄棒に近寄ることも出来なくて・・」と相談したことから課題の中に取り入れて下さいました。

そのやり方を見て、なるほど、スモールステップってここまでやることなんだな、ととても勉強になりました。

今日はその息子が鉄棒を出来るようになった方法についてのお話です。鉄棒などの運動に限らず、どこまでスモールステップにすればよいのか、他のことにも考え方として応用が出来ることだと思います。

 

1.トークンを用意する

トークンとはご褒美のことです。息子の場合はスタンプカードを用意していただいていました。ひとつの手順が出来たら数種類の中から好きなスタンプを押してもらえます。

手順の数だけマスが設けられています。

このトークンはお子さんのタイプや年齢によっていろんなご褒美にするのもよいと思います。おやつや、スタンプがたまったら何か買ってあげるなどもモチベーションになります。

スタンプや物でなくても、ハイタッチや抱きしめてあげるのもよいでしょう。

苦手度によってトークンを設定するのがよいと思います。

 

2.最初は触るだけからスタート

最初のステップは鉄棒を手で触るだけ。まずは先生がお手本で、鉄棒に触るだけでOKとスタンプを押しに行きます。

そのあとに子供たちも次々と鉄棒に触りスタンプを押しに。

お手本で見通しも立つので息子もこれだけでいいなら、と躊躇なく鉄棒に触ることが出来ました。

スモールステップの最初の段階では、本人の能力的に絶対出来ることから設定し、それが評価されることが大事なんだなぁと思いました。

これだけなら出来る→出来た→褒められた の経験が次に繋がります。

 

3.鉄棒を握ってみる

鉄棒の握り方、親指は他の四本指と反対の方向でぐっと握るとお手本を見せながら教えてもらいます。

これ、小さいお子さんだと親指を他の指と同じ方向に向けてひっかけてるだけというパターンは結構あるようです。

正しい握り方で鉄棒をぐっと握るだけで2つめのスタンプがもらえます。これも難なくクリア。

 

4.鉄棒を握っておなかにあてる

次のステップは鉄棒を握っておなかにぴたっとくっつけるだけ。これもクリア。

ここまでくれば本人も自分でもできると安心して取り組んでいます。

 

5.その後のステップ

その後は、鉄棒を握り、おなかにぴったりくっつけ、頭を下げるステップ、

次は、頭を下げて足を浮かせる、

その次はいよいよくるんと前まわり。先生の補助が入ります。

最後に先生の補助なしで一人で前まわり。

なんと、今まで近寄ろうともしなかった鉄棒が、わずか1時間足らずで一人で前まわりができるようになりました!

正直びっくりしました。息子の顔はとても誇らしげでした。

その後は幼稚園でも自分から鉄棒で遊び始め逆上がりにもチャレンジしていました。

 

なぜあんなに鉄棒に対して苦手感を持っていたのかは今でもわからないのですが、

こうして本当に細かく細かく刻んでいったことで息子の不安も取り除かれ出来るようになったのだと思います。

 

自宅で応用していること

やる気がなくてなかなか宿題に取り掛かれない、気が散って進まない、ADHDをもつ娘はよくあることです。

まずは準備が出来たらハイタッチ、一文字かけたらハイタッチ、次は2文字、ととりあえずやってみる、ひとつずつ出来た体験とご褒美でだんだんスイッチを入れていっています。

別の時はキッチンタイマーを使い、まずは3分間セット。その時間でどれだけ出来たかを記録してきます。やる気が極端にないときは1分から。徐々にスイッチが入り記録が伸びてくると益々エンジンがかかります。

注意散漫がある場合は短い時間、すぐ手の届くご褒美はとても効果的です。

ただ、娘は同じやり方はすぐに飽きてしまうのでパターンを多く持つことが必要となってきます。

慎重な息子の場合は課題設定などがないかぎり苦手なことにまず自分から挑戦しようとしませんので、出来るだけ興味を持たせる仕掛けを優先し、スモールステップで成功体験から進めるようにしています。

 

苦手に取り組む上で大切なこと

発達に凸凹があると苦手なことも数多く現れてきます。

成長の段階で見えてくる場合も多々あります。

苦手なことに取り組む上で大切なのは、そのお子さんが取り組むものに対して十分な発達段階にあるかどうかを見極めることだと思います。

産まれたばかりの赤ちゃんを歩かそうとしても無理なのと同じで、発達段階がそこに達していないことはいくらスモールステップにしても出来ません。

年齢が何歳だから、周りの子はこれくらい出来ているからという基準ではなく、個に対応することが大切です。

 

本人がへこたれないチャレンジャータイプ(うちの娘)だとか、意欲を見せたときなどはとりあえずやらせてみるのはいいですが、慎重なタイプ、失敗でパニックになるタイプ(うちの息子)だとスモールステップでまずは成功体験を積める範囲の挑戦にしたほうがよいと思います。

これは家庭学習についてのツイートです。学びも個のレベルや理解しやすい特性を掴むこと、苦手なことは特に出来るという体験から面白さを感じることが大切だと思います。

 

これはディスカリキュア(算数障害)で計算は苦手だけども数の概念には天才的な能力を持つ人もいるというお話からのツイートです。

何かが出来ない理由には様々な特性やタイプが絡んで関係しているように思います。

今、うちの息子は絵と作文の困難で生活科の観察日記の課題に苦労したり、数学の家庭学習で証明問題が答えは口で説明できても順序だてて説明する式が書けない、などの壁にぶつかっています。

今までの経過や検査、主治医と話したりしながら、息子が作文や絵ができない理由が見えてきました。書字障害の傾向があるのかと思っていましたがどうやら別のところに理由があったようです。

このことはまた別の記事にしたいと思います。

こちらの苦手も息子の発達段階を踏まえてスモールステップで挑んでいこうと思っています。

 

狭い我が家でも作れたクールダウンスペース。余計な刺激がカットされ集中もしやすいです。

狭いところが落ち着くというお子さんは多いみたいですね。うちの子たちも大好きです。

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