発達性協調運動障害 不器用な理由はこれだった
多動でとにかく活発に動き回る娘。運動は得意なんだろうなぁと思っていました。お風呂でもイルカのようにもぐってぐるぐる暴れるし泳ぎも得意だろうと。ところが小学校に入ってみると体育の成績がいまひとつ芳しくない。泳げない。アレ?
他にも蝶結びがなかなか出来ない、髪の毛を自分でくくれない、不器用で出来ないことが数多くあります。
小さい頃、寝返りをうつ、歩く、しゃべるなど身体的な発達の遅れはまったく見られなかった娘ですが、動きに関してなんか妙だなーと思うことはしばしばありました。
娘の作業療法から帰宅。ちらっともしかして発達性協調運動障害って感じですか?と聞いてみた。ビンゴだった。
— なないお🍀当たりの宝くじ (@Nanaio627) 2015年10月17日
発達性協調運動障害とは
発達性協調運動障害(DCD: Developmental Coordination Disorder)とは
筋肉や神経、視覚・聴覚などに異常がないにもかかわらず、ボールを蹴る」「字を書く」などの協調運動に困難を呈する障害。発達障害の類型の一つとされる。
この障害を持つ人は、例えば「這(は)う」「歩く」といった乳幼児期の運動面の発達においてすでに、標準の月齢より遅れが見られる。学齢期には、いわゆる「不器用な子」「運動が苦手な子」として見られ、学業成績に影響を及ぼしやすい。また、同世代の子どもとの遊びについていけないといった社会的な困難も生じやすい。症状の程度によっては生活技能訓練を行い、社会生活への適応を促すこともある。
障害が表れる運動のタイプは、走ったり跳んだりといった全身運動(粗大運動)、はさみを使ったりボタンを留めたりといった手先の運動(微細運動)、スキップをしたり縄跳びをしたり楽器を演奏するなどの組み合わせ運動(構成行為)に分類されている。
発達性協調運動障害(はったつせいきょうちょううんどうしょうがい)とは - コトバンク
その他、現れ方は人それぞれですが発達性協調運動障害に見られる困難に
・字が汚い、マスからはみ出る、筆圧が適当でない
・消しゴムを使うと紙が破れる
・線がうまく引けない、はさみ、コンパス、定規などをうまく使えない
・箸やコップをうまく使えない、ストローで飲みにくい
・靴ひもが結べない
・言葉が不明瞭
・着替えが難しい
・トイレでお尻をきれいに拭けない
・楽器の演奏がうまくできない
・縄跳びなどがうまくできない
・階段の上り下りがなにかおかしい
などなど日常生活のありとあらゆる場面に困難が出てくる場合があります。
調べてみたところADHDや学習障害(LD)と併発する場合が多いそうです。
ツイッターでいつもお世話になっている臨床心理士の@dicegeistさんからどれくらいの割合で併発するのかおしえていただきました。
@Nanaio627 出典がすぐに出せないのですが、以前OTさんから聞いた話ではADHDの子の4、5割ぐらいが併発しているので、ADHDと聞いたら協調運動も苦手だろうなーととりあえずセットで考えておく、というような話でした。
— dicegeist (@dicegeist) 2015年10月17日
@Nanaio627 もともと、ASDでもADHDでもいろんな特性の出方は人それぞれなので、発達性協調運動障害もその中の1つのように扱って、わざわざ診断名としてつけないことも多いのかなと感じています。感覚過敏のある子もいれば、ない子もいる、というのと同じように。
— dicegeist (@dicegeist) 2015年10月17日
「不器用である」というのは発達障害児によく見られる特性のひとつとして知られていますが、一般の方にとってみればADHDで多動がありよく動くにもかかわらず運動機能に困難があるとはなかなか理解されにくいものだと思います。
学習障害のひとつである書字障害も脳の機能として微細運動に問題があるとは理解されにくく、ひたすら練習することで乗り越えられると考える人も多いのではないでしょうか。
「不器用さ」と他の発達障害との間には深いかかわりがあるからです。「場の空気が読めない」「こだわりが強い」「パニックを起こす」などの社会性の障害や「落ち着きが無い」「忘れっぽい」「授業中に立ち歩く」などの問題行動は、精神的なものであって、身体とは無関係だと思われがちですが、実は協調運動などの身体性と密接に関係しているのです。それを裏付けるかのように、近年、運動療法が「社会性の障害」「実行機能の障害」「学習能力」などを改善することが明らかになってきています。
「不器用な子どもたち」に理解と支援を | Connect-“多様性”の現場から | ハートネットTVブログ:NHK
社会性など発達障害のその他の特性と、身体的なものは密接に関係しており、身体に対するアプローチや支援は適応を進めていく上でも重要になってきます。
うちの子の場合
うちの子供たちは寝返りを打つ、ハイハイする、座る、立つ、歩くはだいたい月齢の目安どおりでしたが、娘がつかまりだちをし始めて倒れるときにはいつもそのままぱたっと倒れて頭をぶつけていました。尻もちをつくということが全くなかったのです。頭をぶつけては大変と全く目を離せませんでした。
第一子なのでこんなものかなと思っていましたが下の息子は尻もちをついていたのでやっぱり変わってたんだなとあとで気づきました。
今思い出せば寝転んだ状態からお座りに体勢を変える途中も奇妙な動きをしていて当時はおもしろいな~と思っていました。
ハイハイをする時期が少ない場合も多いようですがうちの子はやっていました。高速ハイハイでだーーーっと移動していました。
歩くようになってからは多動のためそれはそれは活発で怪我の耐えない状態でした。1歳半の時、なにもない平らな道で転び、前歯を折ってしまいました。
そこでちょっと疑問に思いました。ふつう、転ぶときは前に手が出るので顔は強くぶつけないよな?と。まだ小さいからそういう反射神経は育っていないのだろうかと思いましたがそれが大きくなっても続いていました。
その後もベッドで暴れていて肘を骨折、治ったかと思えば椅子の上からダイブして同じく肘を骨折。その他も転んだら顔を擦りむいたり、手の甲を怪我したり明らかに反射的に手が出ていないだろうと思われる場所を怪我していました。
その他、力加減がONかOFFしかなく物をよく壊してしまいます。傘など最近までは使い捨てでした。コップも気が緩めば乱雑にどんと置いてしまうので周りに飛び散ります。
手先の複雑な作業も苦手です。蝶結びは10歳になる最近まで出来ませんでしたし、髪の毛を自分でくくることは今でも難しいです。
字は気合を入れればきれいに書けるのですが、学校の連絡帳などは書いた本人ですら読めない状態でした。宿題の字は踊っています。
運動もボールを使ったものが苦手。ドッヂボールなどはボールを見ながらよける、投げる、周りの人の動きを見てぶつからないようにするなどを同時にこなすことがおそらく難しいのだと思います。何度か顔にボールをぶつけられて帰ってきました。
水泳もいつもお風呂でもぐってぐるぐるまわっていたので得意とばかり思っていたのですがいざ小学校に入ってみると泳げません。もぐれるけど前に進まないのです。
手と足、呼吸、全てを合わせて動かすというのが難しいのかもしれません。
体育の授業を遠くから見たことがあったのですがひとりだけぴょこぴょこと妙な動きをしている子がいてすぐにうちの娘とわかるんですよね。集団を乱しているわけでもないのになんか動きが妙なので目立ちます。
これといってなにかが全く出来ないということはありませんが、なにかちょっと不器用で動きがおかしく苦手である、習得するのに人より時間がかかるということがたくさんあるのです。微細運動が苦手といっても手芸や工作は好きでよくやるし粗大運動に問題があっても縄跳びはできるなどばらつきがあるために見落としやすいと思います。
娘はおそらく微細運動、粗大運動、組み合わせ運動の全てにちょっとずつ困難を抱えています。息子の場合は微細運動に少し困難があり、書字やコンパスを使うなどに苦労しています。言語を理解していても発音が悪くなかなか言葉が通じなかったのも微細運動の問題だったのかもしれません。今でも滑舌は悪いです。
発達性協調運動障害にもそれぞれ現れ方や困難の程度に違いがあります。
どのように対応したらよいのか
方法として考えられるのは適切なトレーニングをすることと工夫や配慮などのサポートをすることです。
私自身、この発達性協調運動障害という名前を知ったのは最近のことですが、娘の不器用さや反射神経のことは前から気にしており希望して作業療法を受けに行っています。
感覚統合というものも以前から興味を持っていました。
@Nanaio627 はい。感覚統合理論とかでは、身体への感覚情報入力をうまくコントロールできず、過敏や鈍麻になる分、精密な運動が難しいと同時にダイナミックな動きによる刺激を求める、そうしたアンバランスさを調整していこう、という風に考えるかと思います。
— dicegeist (@dicegeist) 2015年10月17日
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息子の不器用さや発音の不明瞭さも気になって作業療法の評価を受けたり言語療育に通ったりしました。
しかし、いわゆる軽度と呼ばれる高機能域の発達障害児が作業療法を受けられる施設は非常に数が少ないと思われます。
家庭で出来る範囲の遊びを取り入れたトレーニングや配慮などもあります。
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運動障害があるといってもずっと出来ないままというわけではなくその子なりの発達をしていきます。その育ちをうまくサポートしていく方法はきっとあるはず。
「不器用さ」は、本人にも保護者にも、また専門家にすら脳の機能障害と理解されにくく、個人的な困りごととして周囲からの支援は受けにくいことがあります。その結果、保護者や教師から間違った対応がなされて、事態が悪化するケースがあることが問題となっています。
例えば、「縄跳びが飛べない」「縦笛が吹けない」「字をマス目に収められない」、そのような子どもに対して、教師も保護者も「練習が足りない」「怠けている」「何度も繰り返せば、必ずできるようになる」として、反復練習を強いる指導をしがちです。本来はていねいな説明と適切なサポートや合理的配慮を行うべきなのに、挫折感や屈辱感を与えるような訓練が繰り返され、結果として本人の自尊感情が大きく損なわれるという問題が発生します。最悪の場合、虐待、いじめ、体罰などのターゲットになり、感覚や運動レベルの障害にとどまらず、二次的な精神的な障害まで負うことになります。
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なんで出来ないのかと闇雲に繰り返し練習を重ねさせるだけでは本人も挫折感を積み重ねるだけとなってしまいます。適切な支援が必要なのです。
対応については話が長くなりそうですので次の記事に書きたいと思います。
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