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うちの子流~発達障害と生きる

発達障害を持つ子供たちとの日々をつづります。

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合理的配慮を具体的にお願いするためのステップ

平成28年度より施行される障害者差別解消法に伴う合理的配慮を、実際に学校へお願いするにはどうすればよいのかについて書こうと思います。合理的配慮とはなにか?についてはこちらの記事をご覧ください。

nanaio.hatenablog.com

法律が出来る、合理的配慮を求めることが出来るといっても、実際にはどうしたらいいのか、何をお願いできるのか、どう合意形成に持っていくのか、なかなか難しいですよね。

 先日、東京大学先端科学技術センターの近藤武夫先生の「障害のある子どもたちへの合理的配慮とテクノロジー」という講演会に伺い色々と勉強させていただきました。

近藤先生はDO-IT Japanという障害や病気のある小中高校生・大学生の高等教育への進学とその後の就労への移行支援のプロジェクトをなさっていらっしゃる先生です。

DO-IT Japan

その講演会とは別に、先日私の居住地の教育委員会の方々と懇談させていただく機会があり、合理的配慮について様々なお話を直接うかがってきました。そこで私の子供へお願いしようと思っている合理的配慮についてもお話させていただき現在市教委のほうで検討いただいているところです。学校のほうへも報告いたしました。

学ばせていただいたことを元に、実際に合理的配慮をお願いするにあたってどのようにしていけばよいのか、について考えたいと思います。

 

1.子供にとって必要な支援は何か

 当たり前のことですが、そのお子さんにとって学校で学習したり円滑な学校生活を送るために必要な支援は何なのか、しっかり考える必要があります。障害がある=タブレットなどを持ち込んで学習、というわけではありません。

私は支援は視力に問題がある人の眼鏡のようなものだと考えます。近視や遠視や乱視、度数、眼鏡もその人の視力に応じて合ったものを作ります。それと同じく発達障害児に対する支援もそのお子さんによってそれぞれ合ったものを探し考えていかなくてはなりません。道具なり人のサポートによって、学校においてはお子さんの学びの機会を保障するためのものです。

発達障害児とひとくくりにいえども困難の出方は千差万別。どういうことでお子さんが学校で困っているのか、どういう支援があれば学びや学校生活を円滑に送ることが出来るのか、特性を把握した上で見つけていくことがまず第一歩となります。

例えばどんな困難にどんな支援が可能なのか、については国立特別支援教育研究所の合理的配慮実践事例データベースに様々な事例が載っています。

inclusive.nise.go.jp

 こちらには今後も様々な合理的配慮の実践事例が追加されるそうです。

合理的配慮を求める場合に一番大切になるのは本人の意思です。配慮を受けるお子さん自身がこういう配慮があれば学校生活や学びで困難を軽減し学びの意欲に繋げられるかどうか。

場合によってはクラスに一人だけタブレットを使って学習するということになることに対して、お子さん自身がどう思われるかは大きな問題だと思います。

もちろんこれがそのお子さんにとって必要なサポートであると認められれば、周りのお子さんに対しても理解を求めるクラス運営を担任の先生にお願いしなくてはなりません。

しかし、合理的配慮の概念やインクルーシブ教育が浸透していけば、いずれはそれぞれが必要な支援を受けることが当たり前になってくることでしょう。最初は自分ひとりだけみんなと違う支援を受けることを拒んでいたお子さんも全体の空気が変われば支援を受けたい気持ちになる場合も考えられます。

小さいうちは難しいでしょうが、いずれ大きくなれば自分で自分の困難を把握し、自ら支援を説得力を持って求める力が必要となってきます。

これは障害を抱えて生きる上でも一生涯大切なこととなってくると私は思っています。

 

2.支援によってどのような効果が得られるのか

合理的配慮として支援を求めるためには学校側と話し合い合意形成をしていく必要があります。なんでもかんでもお願いすれば通るわけではないので、その支援の必要性をどこまで説得力を持ってお話できるかが鍵となってきます。

先日の講演会で近藤先生にうかがったお話では、学校や子供にいきなりタブレットなどを渡してこれで学校で勉強して来いと言ったところで学校も子供もどうしようもない、とおっしゃっていました。確かにそのとおりですよね。

例えば書字に困難がある場合、鉛筆で紙に書くとこのように難しくてもタブレットやパソコンを使えばこれだけの文章を書く事が出来るという例や、読むことに困難があってテストで代読があればこれだけの点数をとることが出来るというように、支援があることで出来るようになることを家でも確認し、可能であれば可視化できる状態にして学校へ交渉できるとよいですね。

うちもタブレットの使用とwifiの開放をお願いしていますが、これは以前から家庭学習でも導入し実績を上げているやり方を学校でもお願いするといった形になっています。

お願いする配慮によってはそのように可視化することが難しいものがあるでしょうが、その必要性について普段の様子を交えて説得力のある形で説明できると合意に至る可能性は高くなると思います。

この合理的配慮は障害者差別解消法に基づくものですので、医師からの意見書にこのような配慮が有効などと書いていただければ心強いものとなるでしょう。

逆に言えばグレーゾーンにしろなんら医療からの診断など障害があることを証明するものがないと合理的配慮を受けるのは難しいかもしれません。

(合理的配慮は障害者差別禁止法に基づくものですが、特別支援教育は診断が必須条件ではありません。必ずしも診断がなくとも必要と判断されれば特別支援教育を受けることは可能なはずです。ただ、特別支援教育を受ける根拠として診断が使われていることが多いのが現状です。)

先日の近藤先生の講演会でも、小学校から中学校へなど進学によって支援体制の移行には時間がかかるというお話でした。受験などでは進学以前に支援を受けていて実績を積み重ねていくことが大切だそうです。これからは受験に際しても困難があり申し出をすれば別室受験、代読、時間延長などの配慮を受けられるケースが増えていくようになります。先日、数学検定でも別室受検をお願いし配慮していただいたという話を聞きました。

 

3.実際に学校などにお願いをする

受けたい配慮とその必要性についてお話できる段階になれば、学校へ合理的配慮を求めると申し出をする段階になります。

 おそらく各自治体の教育委員会などでは今回の法律による合理的配慮について学校の先生方へ周知を研修などを通して行っていらっしゃる段階だと思います。

しかし、現状ではまだよく知らないとおっしゃる先生方も多いと思います。こちらで障害者差別解消法、それに基づく合理的配慮についての文書を持っていったほうが話が早いと思います。

文部科学省から出された障害者差別解消法の対応方針が掲載されています。

文部科学省所管事業分野における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針の策定について:文部科学省

長い文章になりますが、文部科学省から出されている正式なガイドラインになりますので、是非印刷しておかれることをお薦めします。

お子さんの支援に関係のある箇所をマーカーで強調したり、付箋を貼るなどをしておけば、学校との交渉の際にスムーズに話が出来ると思います。

まず、担任の先生を通じて合理的配慮を求めたい意思を伝え、その後特別支援コーディネーター(各校に一人の配置が義務付けられています)を中心として校内委員会で検討されることになります。

障害者差別解消法では、障害を理由とする障壁の除去を求める合理的配慮を行わないことは差別となりますが、「均衡を失した又は過度の負担にならないもの」という条件があります。

過度の負担にはならないか、要は予算や人員が必要な案件に対して、ない袖は振れないわけです。先日、教育委員会で懇談させていただいた際には来年度から合理的配慮に伴う人員や予算について考慮していただきたいとお願いをしましたが、現段階で予算に組み込んでいく予定であると回答をいただきました。これは自治体によっても規模が違うでしょうし、予算があるにしても限りがあります。仮に支援員さんをつけて欲しいという希望が殺到すれば全てに応じることは難しくなります。その中で可能な支援を探っていかなくてはなりません。

過度の負担になるかならないか、その支援がそのお子さんにとってどれくらい有効で必要であるものかなどが話し合われ、学校側と本人や保護者が合意に達して初めて合理的配慮が行われます。

4.学校と合意に至らない時にはどこに相談すればよいか

先日講演を聞かせていただいた東京大学の近藤武夫先生は文部科学省の対応指針策定の委員会に参加されていらっしゃったそうです。講演会の中で学校などの体制整備についてもお話されていました。

その中で使われたスライドを撮影したものがあります。近藤先生に転載の許可をいただきましたので掲載させていただきます。

「国内の初等中等教育での紛争調停に向けた体制整備の例」

f:id:nanaio:20151107152100j:plain

※東京大学先端科学技術センター近藤武夫先生の「障害のある子どもたちへの合理的配慮とテクノロジー」講演会より引用させていただきました。この図は近藤先生の許可をいただき転載しているものですので引用・転載等はご遠慮下さい。

この図の中には学校の中での体制がどのようになっているかも分かりやすく書かれています。

そして学校内で合意形成に至らなくても合理的配慮として求め続けていく場合、どこに相談すればよいか、上に教育委員会、文科省相談窓口、障害者差別解消支援地域協議会、法務局などが書かれています。

先日教育委員会で懇談させていただいた際に、市教委の相談窓口については現在福祉事務所と相談の上で作る予定であると伺いました。窓口が作られたらどういう形で私たちにお知らせくださるのか?についても質問させていただいたところ、全ての児童生徒の家庭に配布するという回答をいただきました。(これは私の居住地の自治体の話ですので自治体によっては違う形になるかもしれません。)

教育委員会以外にもそれぞれに専門の窓口が作られるのではと思います。

 

4.学びの情報保障

読むことや聞くことなど情報を取り入れることになんらの困難がある場合、通常の紙の教科書や授業においては他の生徒よりも受け取る情報が少なくなる、つまり学ぶ機会を失っているということになります。書くことに困難があれば、書くということに非常に大きなエネルギーを食われてしまい授業についていけなくなるケースもあります。

読み書きに目立った困難がなくともカクテルパーティー効果といって音声の選択的聴取が出来ない、つまり色んな音の中から先生の声だけをピックアップ出来ないために授業がわからない場合や、シングルタスクで同時に作業できないため、授業を聞きながら板書を取ることが難しいなどと障害による困難は個々様々なケースがあります。

こういった困難から子供たちを救ってくれるのがタブレット端末などのIT機器です。

近藤先生が「AccessReading(アクセスリーディング)」というデジタル教科書をご紹介されていらっしゃいました。

AccessReading - Home

twitter.com

 こちらは教科書の音声読み上げやハイライトや拡大表示機能により、読むことに困難があるお子さんのサポートとなる電子教科書です。障害のある方が登録することにより無料でデータをダウンロードでき、パソコンやタブレットなどで利用することが出来るそうです。

現在あるかなりの数の教科書データの他のものが必要な場合は申請することにより数ヶ月で新しく作成して下さるそうです。是非、必要な方は申請登録してみてくださいね。

お申し込みの流れ

 教科書以外、テストなどで読むことに困難があれば代読していただくことも合理的配慮のひとつですし、書くことに困難があればパソコンやタブレットを使いキーボード入力や音声入力の方法もあります。

聞くことに困難があればデジタル耳栓などノイズキャンセラー機能で軽減することも出来ます。

キングジム デジタル耳せん   MM1000 ホワイト

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nanaio.hatenablog.com

 板書に困難があればデジタルカメラなどで写真を取ることも合理的配慮の一例となるでしょう。

その他、様々なアプリを使うことで学びのサポートを行うことが出来ます。うちの息子の場合は微細運動の問題で鉛筆で紙に書くことに多少の困難があり、アプリを使って指でなぞりがきをすることで漢字を覚えていきました。学習や生活支援に関するアプリもたくさんあります。

nanaio.hatenadiary.jp

 過去にディスレクシアの方のサポートについて書いた記事があります。これらの支援を合理的配慮として学校で通常学級でも用いることが可能になるのです。

nanaio.hatenablog.com

 これらの支援は特別扱いではありません。

障害による困難によって起きる学びの平等な機会への障壁を取り除くものです。

そしてその困難は個々により大きく違います。

人によって違うから「何が合理的かはケースバイケース」なので関係者間の合意形成が重要となると近藤先生もおっしゃっていました。

こういう障害者差別に関する法整備は2006年に国連で採択されてから日本は遅れてやっと出来た状態です。

 

うちの合理的配慮をお願いしている現状

 うちの子供たちは理解ある学校や先生方に恵まれ今まできめ細かい支援をしていただいております。しかし、一点だけ就学前からお願いしていたことで実現していないことがありました。現状の制度では実現が難しく半分諦めていましたが、今回合理的配慮の義務化に伴い再度お願いしてみることにしました。

昨年度に引き続き情緒通級親の会で役員をさせていただいている関係から、先日教育委員会で懇談をさせていただく機会がありました。通級指導教室の拡充をお願いすると共に来年度からの合理的配慮についても資料をどっさりもって色んな質問をさせて頂きました。

その中でうちの子に対するこういう合理的配慮をお願いしようと思っているという話をしたところ、教育委員会で検討し回答をくださるという話になりました。学校に話をするところをすっとばしてしまいました^^;

うちの支援学級に通う小学2年の息子は障害による困難と共に突出した算数・数学への興味をもっています。2Eやギフテッドと呼ばれる部類に入ると思います。3歳で四則演算を覚え就学前には小学校の算数の範囲はすでに終わらせていました。

支援学級に入るにあたり算数の授業を他のお子さんたちと同じカリキュラムでなく自習で息子のレベルに沿った数学の学習の時間にしていただけないかとお願いしてきました。しかし学習指導要領の問題もあり結局は学齢に沿った学習内容を行っています。2年生ですから今は九九をやっています。息子にとっては何年も前に覚えたことを今更やることは非常に退屈でもあり面倒でもあり興味も持てないものになっています。休み時間を使い自分で持ち込んだ教材で学習するほど学びへの意欲を持った子です。今の算数の授業は時間の無駄としか本人も認識していません。

他、文字を書くことに多少の困難があるので漢字学習のためにタブレット端末を持ち込みたいとお願いしましたが、管理の問題があると断られていました。

息子の数学への興味と習熟度を客観的に証明するため幼稚園の頃から数学検定を取り、現在は4級(中2相当)を取得、先日3級を受け結果待ちです。算数オリンピックでもキッズBEE部門(小1~3年のクラス)で金賞と最優秀賞をいただきました。何年もかけて見える形での実績を作ってきました。

先日発表された文部科学省の対応方針を載せた官報にも「合理的配慮は、障害者がその能力を可能な最大限度までに発達させ、自由な社会に効果的に参加することを可能にする目的の下」という文言があります。

この言葉を元に、息子に対する算数の授業を本人の興味レベルに沿った自主学習の時間にしていただくこと、それに必要なタブレット端末の使用(可能であれば予算を組んでいただき学校で購入していただきたいこと)、wifiの開放をお願いしました。

息子は普段から家でインターネット上にある動画授業を使い自主的に自分の学びを進めています。息子がこれから学ぶのは高校数学なので指導要領の問題があるのであれば、算数オリンピックの学習なら難問でも小学校算数の応用なのでそちらをやらせて欲しいと。

検討して下さるとおっしゃったので、来年度早々学校にお願いに上がるのでその際に教育委員会からの回答をいただきたいとお願いしてきました。

学校に相談をすっとばしてしまったので先日支援コーディネーターである息子の支援担任の先生にこのように教育委員会で検討していただいていることを話しました。

担任の先生はギフテッド教育に関して日本は遅れているのでこれからだと理解を示していただきました。後日校長先生にもご報告に伺うことにしています。

アメリカをはじめとする障害児教育の先進国である欧米諸国では、ギフテッド・2E教育は特別支援教育として位置づけられています。一般的な学びの成長とは大きく異なるという点においてギフテッドも困難になりうることが広く認識されています。

個別配慮にしても日本の公教育にギフテッド・2Eへの配慮をお願いすることはとても大胆なことだと思いますが、教育委員会が息子の困難を軽減していただける方向へ判断を下していただけることを祈っています。

その他、現状はまだ大丈夫ですが娘は発達検査の結果からも同時処理にかなりの困難が見られるため、先々板書などに困難が現れてきたらカメラの持ち込み、発達性協調運動障害があるので体育など運動面での配慮をお願いしようと思っています。

 

来年度より障害者差別解消法に基づく合理的配慮によって世の中や学校がどう変わっていくのかはまだわかりません。

最初を切り開いていくのはそれなりに混乱も困難も伴いますし、大きな勇気がいるものです。

今私の子供たちが受けている支援の環境は学校や専門の方々、同じ困難を抱える子供たちを持つ保護者の方々が切り開いてきた努力の上で成り立ってきたものだと思っています。

お子さんの学校での困難を軽減するために合理的配慮を必要とされている保護者の皆様、一緒に動き出してみませんか?

共に学び合うインクルーシブ教育システム構築に向けた児童生徒への配慮・指導事例

共に学び合うインクルーシブ教育システム構築に向けた児童生徒への配慮・指導事例

 

 こちらはDO-IT Japanの近藤先生と異才発掘プロジェクトROCKETを率いる中邑先生が書かれた本です。

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