うちの子流~発達障害と生きる

発達障害を持つ子供たちとの日々をつづります。

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自閉症スペクトラムのこだわり、その理由と対応

自閉症スペクトラムのこだわりとは

自閉症スペクトラムの特性としてコミュニケーションの困難、

社会性の困難、想像力の困難の3つがよくあげられます。

三つ組みの特性と呼ばれるものです。

この中の想像力の困難から予測がつかないことへの不安が強く、

それによってこだわり行動がおきると言われています。

変化に弱いため、同一性を保持したがる傾向や常同行動が見られます。

これはこうでなくてはならないとか、行動や習慣のパターン化に強くこだわったり

特定の物事に執着したり、同じ言葉を繰り返す遅延エラコリアが見られたり

同じ行動をひたすら繰り返したりします。

 

なぜこだわるのか

想像力の困難から変化に弱く不安からこだわり行動がでるのは

やはり安心を得るために出る場合が多いと思います。

外出先など慣れない場所で自分を安心させるために出る場合もあるでしょう。

常同行動の場合、前庭感覚(重力や運動に関する感覚)や

固有感覚(筋肉や関節に関する感覚)に鈍麻やアンバランスがあるため、

感覚的な刺激を与えているのです。

多動の原因 - うちの子流~発達障害と生きる

この場合、うちの子供達を見ていると不安からくるものもあれば

ただ心地よさを求めて続けているだけの時もあるように思います。

それとは別に小さいお子さんの場合、こうでなくてはならないこだわりは

自分でやりたい、出来るようになりたいという

自我の芽生えからくるものも多いと思います。

これは一般のお子さんにも多くみられるイヤイヤ期ですね。

この時期の強烈なこだわりや癇癪は自閉症スペクトラムでなくてもよく見られること。

逆に発達障害特性があるとうちの娘のように未だ永遠のイヤイヤ期だったり

息子のようにイヤイヤ期があったのかなかったのかわからなかったり、

一般的な年齢より遅れてくるケースもあるようです。

そして特性が絡むためにより強烈に出ることもあるでしょう。

 

息子のこだわり

息子が2歳前後でトイレトレーニングをしていた時のことです。

おしっこが出そうな頃合いを見計らってトイレに誘います。

出ません。そう最初からうまくいきません。

じゃまた後で行こうか。「まだー」

おしっこも出ませんが本人もトイレから出ません。

そう、息子はおしっこが出るまで何時間でもトイレに籠城するのです。

これは出来るようになりたいという自我の芽生えとこだわりだったと思います。

それに息子にとってトイレはとても楽しい空間でした。

狭いところが落ち着くのです。

一人で歌を歌ったり、遅延エラコリアで延々と一人でしゃべっていたり

ごきげんに過ごしていました。

おうむ返しと遅延エラコリア - うちの子流~発達障害と生きる

無理にトイレから出そうとすると泣きわめきパニックになるのでそっとしておくと

トイレに座ったままお昼寝をしてしまうこともしょっちゅうでした。

(危険ですので鍵がかけられないように細工しました。)

たまたま家にトイレがもう一つあり家族が困る事もなかったので

見守ることができたのですが

毎日毎日何時間もトイレで過ごす日が半年以上続いたでしょうか。

だんだんとおしっこに成功して満足してトイレから出てくることが増えて行きました。

7歳になった今でも家のトイレに座れば楽しそうに歌っておしゃべりをしています。

ちょっと時間は長いですが息子にとってはリラックスタイムのようです。

元々不安がとても強い子なので他に爪や物を噛む感覚刺激や

数への極端な興味や遅延エラコリアなどこだわり行動が多々見られます。

不安の強さにプライドの高さなども手伝い新しいことに挑戦はなかなかしたがりません。

小さい頃はやったこともないのに鉄棒に近づくのも長い間拒否していました。

(これは療育でスモールステップで取り組んでもらい出来るようになりました。)

しかし息子のこだわりは他者を巻き込むことがほとんどありません。

一人でこだわりを楽しむことが多いのでそっと見守ることが出来ます。

頑なにルールを守る息子 - うちの子流~発達障害と生きる

受動型で大人しいタイプの息子はこだわり行動はありましたが

自己主張することがあまりなく、イヤイヤ期は全くわかりませんでした。

娘が強烈な万年イヤイヤ期なだけに私が気付かなかっただけかもしれません。

 

娘のこだわり

娘は激しい常同行動によく出ます。

ADHDで多動もあり、固有感覚の鈍麻もあるので

爪噛みも一時は手の爪は出血するまで深爪で、

噛むところがなくなると足の爪まで噛んでいました。

強い刺激を好むため常同行動も大きな音が出たり物を投げたり飛び跳ねたり逆立ちしたり

とにかく派手で本人も周りもキケンです。

娘の常同行動 ゴリラ状態 - うちの子流~発達障害と生きる

もう一つ、こうでなくてはならないという思い込みやこだわりを

自分だけではなく家族に強要します。

思い通りに行かないとパニックになります。

これは今でも続いており、永遠のイヤイヤ期状態です。

人や物への執着や自我の強烈さ、切り替えの悪さ、自他の境界の曖昧さなど

様々な認知特性がからんで出てくる行動なのですが

このことから家ではトラブルが絶えません。

(娘の自他の境界については新たに別の記事に書きたいと思っています。)

 

じゃ、どうすればいい?こだわり行動への対応と対策

こだわり行動は不安の解消や感覚刺激のためにやっていることが多いので

許容できるものは出来るだけそのままにしておくほうがよいと思います。

まずは不安の元になっているものはなんなのか、原因を探ることが大切です。

原因がわかれば取り除くことや緩和することも可能な場合もあります。

叱責で無理に止めさせると元の不安や満たされない感覚は残ったままとなり

より激しくなったり、止められても別の行動に出てしまいます。

といっても強いこだわりは冷静でいられなくなり私も叱ることは多々あります・・。

しかし他者を巻き込む、トラブルになる、本人にも危険なこだわりは

そのまま見守ることは難しいので付き合い方を考えなくてはなりません。

★一旦気持ちを受け止める

 「これ、気持ちいいんだよね~」「こうしてると落ちつくんだよね~」などと

一旦、その行動の理由を言語化し受け止めてから

危険だからなどとやめないといけない理由を説明します。

これだけでも制止すると起きるパニックをある程度防ぐことが出来たりします。

★ルールを明確化する

何度も繰り返し要求をする場合は、「あと○回でおしまい」と

今すぐ終わりではなく前もってルールを伝えます。

そうすることで切り替えがうまくゆく場合もあります。

約束通り止めることが出来たらそこで切り替えられたことを褒めます。

「もう一回!」と切り替えられなくても「約束です」と要求には答えません。

ごねたら自分の言い分が通った経験をすると次からもどんどんエスカレートし

結局は切り替えられないの繰り返しになってしまいます。

自分の要求は通るはずという思い込みも出来てしまい、

拒否された時のパニックはより激しいものとなって行きます。

最初はパニックになろうがここは頑として追加の要求は拒否します。

そうすることで次第に切り替えられるようになってきました。

★予告で不安を軽減する

不安が強い場合も予告をする、予定を可視化したり

見通しを知らせることで不安を減らすことが出来れば

こだわり行動の緩和にもなります。

新しい場所や物事は、写真など画像で見せたり詳しく説明をすることで

イメージがしやすくなったり不安を減らすことが出来ます。

予定変更により不安やパニックが起きる場合は

先に予定変更の可能性を伝えその場合どうするかを知らせておきます。

★別の行動にすり替える

 原因があってのこだわり行動なので行動だけを禁止し抑えても

ストレスがたまり他の行動へ出てきたりします。

・してもよい場所を決める。

一時期娘の常同行動に逆立ちというのがあって

あちこちで物を蹴り飛ばしたり壊したりしながら逆立ちをしていたため、

家の中で本人も周りもキケンのない場所を選び、

逆立ちしたくなったらそこに行くというルールを作りました。

壁や物を叩いて音を出す感覚刺激もやっていい場所と時間帯や状況を説明しました。

娘の常同行動はブームの様なもので数か月や半年と言う長いスパンですが

納得いくまでやり続ければ治まることが多いです。

・代替品を用意する

固有感覚の鈍麻によるものを噛むのが好きなのは

うちの二人ともにみられる行動なので代わりに噛んで良いものを用意しています。

家ではカミカミグッズを使ったりおやつにスルメなど硬いものを用意しています。

娘は出汁昆布が一番のお気に入りのようです。

爪と噛み心地が一番似ているそうです。

最初は料理に使う分も食べきってしまうので困っていましたが

これなら塩分の取り過ぎにもならないので自由に食べさせることにしました。

出汁昆布は結構高いので痛手ではありますが><

息子は布を噛む感覚が好きでしょっちゅう服に穴をあけたり袖を食いちぎります。

子供達の学校は全て制服なのでこれはちょっと出費がかさみます・・。

仕方がないので食いちぎったポロシャツの袖を切りポケットに入れて

カミカミグッズの代わりにしてもらっています。

鉛筆もかじるので鉛筆のお尻にぷにゅグリップを差し込んでかませるようにしたりもします。

 ・興味のあるもので惹きつけ切り替えさせる

どうしても切り替えが出来ずぐずぐずしている時は

興味のあるものを提示し気分を切り替えたり、

○○できれば○○しようかなどとご褒美を提示します。

 

困ったこだわり行動の対策に一番大切なのは

本人がその行動をやめるべき理由に納得していることだと思います。

納得した上でもなかなかやめられないことは多々ありますが

本人の納得なしに対策を立ててもこちらの提示を飲み込んでくれることは

我が家ではまずありません。

特に感覚の問題は本人にしかわからないものであり

相談の上で試行錯誤してみるのがよいと思います。

強いこだわり行動を本人も困っているのにどうしても止められないこともあります。

持って生まれた特性による行動ですので簡単ではありません。

専門家に相談し対策を立ててもらうのも大切なことだと思います。

娘はその手段の一つとして投薬を行っています。

また、不安があまりに強い場合は強迫神経症などの二次障害も招きやすいので

医療機関へ相談することも必要なのではと思います。

 

こだわりを生かす

こだわりがトラブルや周りのストレスの元になる場合も多いですが

見方を変えることで長所として生かすことが出来る物も多々あると思います。

一つのことにこだわるというのは何かをやり遂げる上でも必要なことです。

息子は小さい頃から数に対して強いこだわりを持っていたので

数の概念から始まり算数ゲームや算数の本など好きなものをどんどん与えて行きました。

まるでスポンジが水を吸い込むようにあっというまに吸収して行きます。

それを元にヒマな時は常に数の不思議について思考するようになりました。

文字に対しても興味は強かったのですが

不器用さがあり鉛筆を持って書くことが非常に苦手でした。

しかし好きな算数をやるために答えや式を書く必要性から徐々に鉛筆に慣れて行きました。

好きなことが苦手を引き上げることもあるのです。

息子の場合は数という伸ばしやすいこだわりでしたが

例えば電車など乗り物にこだわりのあるお子さんでしたら

電車を使った問題で数字や計算に結び付ける、時刻表を使って時計の概念を覚える、

電車の物語を読む、電車の工作をするなど

こだわりと別のモノをくっつけて何かに生かすことも出来ると思います。

こだわりの行動はそのお子さんが安心できるもの

つまり興味があり得意なことなのです。

こだわりを止めさせなくてはならないものと決めてしまうのではなく

保護者の方の考え方ひとつで長所として生かせるものは多いのではないでしょうか。

本人も周りもこだわりとうまく付き合えるようになるといいですよね。

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