うちの子流~発達障害と生きる

発達障害を持つ子供たちとの日々をつづります。

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テンプル・グランディンさんから学んだこと「こだわりを生かす」生き方

昨夜、NHKの「スーパープレゼンテーション」という番組でテンプル・グランディンさんのTED講演が放送されました。

テンプル・グランディンさんはアメリカの動物学者であり、自閉症を持ちながら画期的な家畜施設を設計し成功を収めた方です。

このグランディンさんのTED講演はずいぶん前から日本語訳付のものがネットで公開されており私は子供達に診断がついてすぐから何度も繰り返し見てきました。

私にとってはとても素晴らしい内容で見るたびに元気がもらえます。

www.ted.com

こちらのTED公式でも日本語訳で見ることができますが自動で翻訳されない方は下記のサイトでどうぞ。

digitalcast.jp

昨夜のNHKのサイトでもTED講演をみることが出来ます。

www.nhk.or.jp

自閉症と言う障害を持ちながら成功した一人であるテンプル・グランディンさん。

それは彼女が特別な才能をもっていたからであり、多くの発達障害を持つ人はそうではないケースの方が圧倒的に多いし、誤解を生むというご意見もあるようです。

確かに彼女は素晴らしい才能を持ちそれを発掘し育成し発揮できる機会に恵まれてきたからこその成功であるのでしょう。

全ての発達障害者が彼女と同じように特別な才能をもつわけでは当然ありません。

それは発達障害でない人々にも色んな人がいるのと同じです。

発達障害だからなにか特別な才能があるはずと周りに言われるのはとても苦しいことです。

ただ、私は彼女の言葉の中に発達障害を抱えながら生きていく上でのヒントはたくさんあると思っています。

 

こだわりを生かす

テンプル・グランディンさんは自閉症の特性である細部に注目すること、その細部をパズルのように組み合わせていく視覚優位の思考、多くの人々とは違う視点を活用することによって成功を収めました。

細部に着目する特性は多くの自閉症スペクトラムの人が持つもので、それによって社会的に困難な面がでてくることも多々あるでしょう。

一見弱点であるように見える特性も、発想の転換をし、活用する機会を求めれば長所として生かすことが出来るという素晴らしい例だと思うのです。

うちの場合、息子は1歳頃から数字に対して強いこだわりを見せていました。

興味はチャンスと思って数に関する遊びから計算につなげていき図形に進みどんどんと算数の概念を吸収していきました。

教えればスポンジのように吸収し展開していく息子の算数的発想がおもしろく親子して夢中になってやっているうちに、小学2年の今、数学検定4級を取得し算数オリンピックに挑戦するまでになりました。

 ※子供達の学習に関してはこちらのブログに書いています。

うちの子流な学習記録

 

こだわりを広げる

テンプル・グランディンさんのお話の中にもこういうことが出てきます。

 

馬の絵ばかりを描く私に母は言ってくれました。

「他の絵も描いてみない?」と

違うやり方を知る必要があります。

レゴに執着する子がいれば他のものを組み立てるよう促すんです。

自閉症の脳は執着する傾向があります。

レーシングカーが好きならそれを算数に使うんです。

この距離を何分で走る?とか。

子供のやる気を引き出すため執着心を利用するのです。

(別の翻訳でこのあとに)

 そうすれば自ら学ぶようになる

(中略)

別の可能性としてはソフトウェア産業からリタイアした人たちに教えてもらうことです。

教える内容が古くても構いません。

引き金となることが大切なのです。子供達のスイッチを入れるのです。

こだわりを生かすためにはそのままにしておくのではなく、こだわりを利用して可能性や興味を広げていくこと、

子供の興味を引き出すための引き金が重要なのです。

 

親として私ができること

うちには娘と息子、二人の発達障害児がいます。

きょうだいと言えども全く違ったタイプ。

同じものを見せても一方が興味を示しても一方は全く関心を示さないことも多いです。

こちらがたくさんのカードを見せた中で子供達がそれぞれチョイスする。

そのチョイスしたカードを展開させるためのバックアップをしていく。

 子供の興味の小さな芽を見逃さず水をやり育てる作業が必要なのだと思っています。

息子の場合は現在数学に興味が特化しそれを伸ばしていますが、娘の場合は興味があちこちに飛び散っているためこれといって目立ったものはありません。

しかし手持ちのカードを増やしていくうちにこれと言うものを見つけてくれるのではと思っています。チョイスするのは娘自身なのですから。

私が親として出来るのは引き金になりそうなものを多く用意することです。

それが将来職業と直接結びつかなくても、好きなものがあるやりたいことがあるというのは生きる原動力になります。 

 

具体的にはどんなことをやっているのか?

テンプル・グランディンさんのお話にもあったように今興味のあるものこだわりのあるもの好きなものからスライドしていく方法がまずひとつ。

単に対象を広げるだけでなく、身につけた方がよいスキルに結び付けることもできます。

例えばおやつの時間にクッキーを食べながら今何個ある?母さんと同じ数にわけたら何個?3個食べたら残りはいくつ?などとクイズにしながらおやつを食べていきます。

数の概念から四則演算の基礎まで楽しみながら身につけることが出来ます。

買い物の時は小さい頃は好きなお菓子を何個と決めていましたがある程度計算が出来るようになってからは予算を決め、暗算しながら自分の欲しいものを選んでいくルールにしています。

料理のお手伝いをしながら科学の話に結び付けたり、散歩をしながら草花や虫を観察したりあらゆる結び付け方があります。

 

もうひとつは子供の疑問を出来るだけ逃さないこと。

子供達はことあるごとに「なんで?これなに?」と聞いてきます。

子供の疑問に出来るだけ丁寧に答え、疑問によってはネットで一緒に調べ、画像や動画でより印象に残りやすくします。関連するものも調べて行きます。

国旗に興味を持てば国旗の絵本や国旗カード、世界地図や地球儀を揃えグーグルマップで世界の国々を見たり

「水はなんで出来ているの?」という疑問なら、そこから分子や原子の話に広げて行き化学の本や元素周期表を学べるアプリなど楽しくかかわれるものを導入すればすぐに覚えていきます。

学習だけではなく手芸や絵や料理、工作など物を作ることに興味を持っている娘には画材や裁縫道具を用意したり幼稚園の頃から積極的にいろんなものを使わせてきました。

もちろんいくらでもお金が使えるわけではないので100均で買えるもので揃えたり、いつでも丁寧に答えられるわけでもないので可能な範囲でやっています。

ネットの検索のやり方、辞書の引き方など疑問を自分で調べる方法を教え身につけていくと自分でどんどんやってくれます。

基本「マジレス母さん」でやっています。

お子さんの興味とタイプに合わせてやっていくことが大切だと思います。

 

特別な才能があることが幸せに生きていけることと必ずしもイコールではありません。

親として私が願うのは子供達が才能を持つことではなく、幸せに生きることです。

特性上、社会性というカードをあまり使えないのであればなにか代わりのものを探していくこと。

スペシャルカードはなくても手持ちのカードを増やし広げそれを使ってうまく生き抜くこと。

そのためのサポートがしていけたらと思っています。

Temple Grandin [DVD] [Import]

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 エミー賞を獲得したテンプル・グランディンさんの半生をつづったアメリカのテレビドラマのDVD。日本語字幕がないのが残念ですが、英語の分かる方はよいのではないでしょうか。

以下、テンプル・グランディンさんの著書です。

自閉症感覚―かくれた能力を引きだす方法

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我、自閉症に生まれて

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テンプル・グランディン―自閉症と生きる

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