うちの子流~発達障害と生きる

発達障害を持つ子供たちとの日々をつづります。

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得意を伸ばす?苦手を克服させる?子供の凸凹に親ができること

発達障害児を育てていると「子供の得意を伸ばそう!」みたいなお話はちょこちょこ耳にすると思います。

でもそれってどうなの?実質社会に出ると得意よりも苦手なことを克服する必要があるんじゃないの?という話を成人当事者の方がおっしゃっているのを目にしました。

確かに社会に出れば、自分の得意が通用する職種につけるかどうかはわかりませんし、日常生活や社会生活での苦手がどんどん浮き彫りになってくることもあると思います。

 

我が家の場合、息子に目立った得意があるため、得意を伸ばすことに注力しているように思われますが、娘には今のところ息子のような目立つ得意は見つかっていません。

つまり親の育て方で才能が花開いたとかというわけではなく、息子が本来持っていた興味とそれを面白いと思った私のやり方がたまたま合致して目立つようになったに過ぎません。

一般の人も含め、人よりも飛びぬけたなにかは持っていないのが大半だろうと思います。「発達障害があるならなにかの才能があるかも」という(善意による)言葉に苦しめられた人も多いのではないでしょうか。

んなもんねーよ。娘も私も才能どころか人並み程度が出来なくてひーひー生活していることも多々です。

ただ、個人の中で、出来ることと出来ないことの差が非常に大きいというのが発達障害の特徴でもあり、それとどう付き合っていくのか、親としてなにが出来るのかを考えてみたいと思います。

 

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※イラストはまうどんさん(id:mauzoun)に描いていただきました。

 

苦手は「付き合っていくもの」

私自身は発達障害の診断を受けていませんが、子供たちを見ていると往々にして自分にもかなり特性があるなぁと感じています。つまり我が家は遺伝だなーと。

最近私のTwitterのタイムラインでは忘れ物の話題で盛り上がっていますが、私も子供の頃は毎日学校に忘れ物をし、今でもしょっちゅう忘れています。

先日、大多数の人はほとんど忘れ物をしないという衝撃の事実を聞いてしまいました。マジですか。

そりゃ忘れ物だらけの人種を「大事だと思ってないから」「意識すればできるでしょ」と思われても仕方ないのかもしれません。

私も少しずつ忘れ物は減っていると思います。でもそれは忘れ物をして罰を与えられたからではありません。いくら気合でがんばろうとしてもそれではどうにもならないことでした。

実際に減ったのは工夫することを覚えたから。どうやったら忘れないか、忘れてもカバーする方法があることを知ったのが大きいです。

例えば、今日の予定を朝見たとしてもなにかやってるうちにきれいに忘れてしまうので、スマホで出かける30分前にアラートを鳴らすことでかなり減りました。忘れてこまる重要な物は常に持ち歩いています。かばんを変えると中身がぬけるのでいつも同じかばんを持っています。部屋全体は整理整頓できなくても、重要な物だけ別にすればなんとか管理できるようになりました。

子供の場合は、なくしやすい消しゴムなどの文房具一式、学校に予備を置かせてもらっています。学校の予備とは別にランドセルのポケットにももう1セット。自宅にも買い置きしてなくせばいつでも出せるよう準備しています。ダイソー様様です。

 

忘れ物以外にも苦手で日常困ることは他にいろいろとあるのですが、

自分にあった工夫を見つけること、なにが自分に合うかわからないのでいろんな方法を知って試してみること、工夫で出来る体験を積むこと。

これが気合ではどうにもならない困難を抱えた子供たちに対して、私が教えられることかなぁと思っています。どんな工夫をすればいいのか一緒にアイディアを出し合うこともよくあります。

 

身につけたいスキルの優先順位を考える

凸凹が大きい子だと、どうしても出来ないところをあれもこれもと周りに追いつけるよう保護者が焦ってしまう場合も多いと思います。

しかし、いくらがんばろうとも、仮に発達障害でなかろうとも、人は万能にはなれません。誰だって出来ないことや苦手なことは大人になってもそのままあるのです。

子供自身がその段階にまだきていない時にいくら努力しても工夫しても身につかないことは身につきません。成果がないどころか本人を大きく削ってしまいます。凸凹の大きい子供たちですから学齢どおりにはなかなかいかず時期が来るまで待つしかない場合も多いです。特性によっては一生できないことももちろんあります。

ただでも日常生活をまわすためにがんばっている凸凹な子供たち。全部をがんばれというのは酷な話です。

リコーダーがふけなくても大人になって一ミリも困りません。泳げなくたって運動会に参加しなくても大人になってから問題はそうないと思います。健康上問題が出そうなほどの偏食を除いては、ピーマンやチーズが食べられなくても死にはしません。

本人ががんばりたいというのであれば出来るための工夫を探してみる。それだけでいいと思っています。実際、うちの娘は発達性協調運動障害をもっているので、泳ぐのも運動もかなり出来ません。それでも動くことは大好きなので(多動児ですから)体育の授業は楽しく参加しています。それだけで十分だよと伝えています。

ただ、大人になってからこれは身につけておかねば大きく困るだろうなというものだけに厳選してがんばってもらっています。

うちの子供たちの場合は、知的障害を併発していないので将来はなんの支援もなく社会に出て行く可能性が大きいです。親として私が目指すところは子供の自立です。

それに向けてどうしても必要なこと、お金や重要な物の管理、最低限の家事、周りの人とトラブルを少なく過ごすこと、困った時に誰かに頼ったり解決策を探る能力身につけること。社会で生き抜くために必要なスキルに絞って考えています。

なので将来困りそうでないスキル、今うちの子の段階で無理なものはばっさり切り捨てて、本人が苦痛でなければそれでいいことにしています。苦痛ならば工夫を考えるか配慮をお願いするか、参加しないという選択肢をとっています。

10の努力をしても1の成果しか出ないのが「苦手なこと」ですから最小限にとどめたほうが、本人のキャパシティを守るためにも大事だと思っています。

 

キャパオーバーしてしまうと出来ることさえ出来なくなって他に多くの支障が出てしまいます。精神的にも二次障害の元となってしまうのでここは気をつけたいところです。

 

得意なこと=好きなこと、と考える

一方、1の努力で10の成果が出せるのが「得意なこと・好きなこと」です。

コスパ最高。

得意なことがこれといってなくても、好きなことって色々ありますよね。

うちの娘は、ゲームや(娘の場合は依存に注意)絵を描いたり物を作ったり音楽や料理をしたり好きなことはたくさんあります。注意だけでなく好きなものも飛び散っています。一点集中しないのでこれといって伸びはしませんが、逆に興味が多いのは彼女の強みかもしれません。

「得意なこと・好きなこと」を積極的にやらせるメリットは

・生きる楽しみをみつけられること、余暇を楽しめること

・場合によっては苦手を引き上げることも出来る

この2点だと思っています。

特に余暇を楽しめることは重要だと思っています。やらねばならないことしかしない人生なんてクッソつまらねー!と思いませんか?他人からどう評価されるものであろうと、自分の楽しみがあるというのは生きる糧となると思っています。特に発達障害を持つと日常生活だけでいっぱいいっぱいになるので、楽しみを意識して持つのはがんばるための原動力になります。

人はパンのみにて生きるにあらず、ですね。

苦手を引き上げることが出来るというのは、好きなことをがんばっているうちに苦手なことにチャレンジする必要が出てくる場合もしばしばあるということ。そうなれば苦手なことだけにチャレンジするよりは動機があるぶん簡単にクリアしやすいのです。

趣味を続ける上で他人と協働しなければならないことが出てくれば、人との付き合いが苦手であっても積極的に関わることもできるのです。例えばうちの息子の場合、数学が得意ですが、学齢以上に勉強をどんどん進めると文章題の漢字が読めない、意味がわからないなど苦手な国語の問題が出てきました。それでも好きなのでそこで諦めることなく、本をたくさん読んだり漢字を勉強したりしているうちに国語の能力もじわじわと引き上げられています。

大人の働きかけで、得意なことと身につけて欲しいスキルを結びつけることも可能です。電車が大好きなお子さんなら時刻表から算数に興味をずらしていくことも出来るかもしれません。

 

「強みを生かしてそれで将来メシくっていってくれれば」は基本的に考えていません。

実際に強みを生かして生きている凸凹をもった人も多くいると思います。しかしそのためには、本人の努力だけではまかないきれない環境や運も往々にして関係してきます。本人が夢をもつのは素晴らしいことですが、親として期待はかけていません。

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「才能探し」は無駄。興味関心に寄り添うだけ

例えば私に「乗馬」の天才的な才能があったとしましょう。でもそれは馬に乗らない限り一生発揮することはありません。私は馬は今まで一度も乗ったことがないので実際に才能があるかどうかもわかりません。

才能がみつかるまで世の中のすべてのものにチャレンジするのは実質不可能です。

ただ、子供から見える世界は限られているのでいろんな世界を見せる、視野を広げる手伝いをすることなら出来ます。

その中で子供が興味関心を示したことをキャッチして、できる範囲で環境を整えていく。親の私に出来るのはこれくらいだと思っています。

子供が興味をもった瞬間を大事にする、できるだけ早く対応する。鉄は熱いうちに打つ。

好きなこと興味関心があることは、環境さえ整えれば勝手に伸びるのです。その内に才能と呼ばれるものになる場合もある、ということなのでしょう。

息子の場合は小さい頃から数にこだわりを見せたので、教えていけば吸い込むように身につけていくのが面白くて、どんどんやっていくうちに気付けばこうなってただけです。算数ゲームやアプリ、本などを揃え、興味が赴くまま学習を進められるように環境を整えました。次々とわく息子の疑問に答えられなくなることも増えてきたので、Branchさんで東大生の方に教えていただいたりTwitterで教えていただくなど外部の方にお願いすることも増えてきています。

nanaio.hatenablog.com

興味が特異なため周りに同じ関心を持つ人がおらず、目標をもってより楽しめるように、自信を持ったり同じ仲間がいることを感じてもらうため、数学検定や算数オリンピックなどにも挑戦しています。こういうことも親が準備せねば子供だけではどうにもならないことだと思います。

 

娘の場合は、裁縫に興味をもてば裁縫セット一式をそろえ教え、編み物に興味をもてば私の編み物セット一式を与え教え、ネイルに興味をもてばネイルアート一式、絵に興味をもてばパステルや絵の具やいろんな道具をそろえ・・・とほとんど百均ダイソーで事足りていますが、とにかく興味をもち次第、道具をそろえて基礎を教え、できる環境だけを作ってきました。

興味が多岐にわたるのでこれといって得意なことはないですがいろんなことができるようになりましたし、なんといっても多趣味で自分の時間をいかようにも楽しめる。これは彼女が生きる上での強みだと思っています。たくさんある趣味のどれかひとつでも将来これに注力してみようと思えるものがでるかもしれません。そのための種まきで十分だと思っています。

最近は父親にもらったキーボード(音楽のほう)がお気に入りで、youtubeで気に入った音楽を耳でコピーしながらひとりで練習しています。けっこう上手になりました。勝手に伸びているようです。好きなことなら勝手にどんどんやりますから。

 

目標は自分自身の特性を把握しうまく付き合っていくこと

好きなことも苦手なこともこれに尽きると思います。

苦手なことに挑戦ばかりでは潰れてしまう、好きなことだけやっても生きてはいけない。バランスよく両輪をやっていく必要があると考えています。

どちらにしても自分自身との上手な付き合い方をみつけること。それが社会との上手な付き合い方に結びつきます。

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特性上、自分を客観視することは非常に苦手ですから、苦手なことに対する工夫もいろいろチャレンジしながら見つけていかなくてはなりません。そのためにいろんな方法があると知ること、ここは大人がお手伝いをしていくことが必要になってくると思います。

たとえそれが他人から見てもっと効率いい方法があるだろうと思われるようなことであっても、本人にとってはそれがベストということもよくあるんですよね。

几帳面な方には信じられない薬の飲み方でしょうが、こまめなことが全くできず忘れっぽい私の特性と折り合った結果、現状で一番飲み忘れを防げる方法です。ほかの方法は続きませんでした。

子供たちにも苦手なことに対する工夫、得意なことをより楽しめる方法、自分に合った方法を自分で探していける力を身につけて欲しいと願っています。

 

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赤すぐさんで連載を書かせていただいています。バナーのイラストはまうどんさん(id:mauzoun)に描いてもらいました。こちらもよろしくお願いします!

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