うちの子流~発達障害と生きる

発達障害を持つ子供たちとの日々をつづります。

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私たちはあなたの身近で生きています。世界自閉症啓発デーに寄せて

 私の子供たちふたりは「発達障害」と診断を受けています。

発達障害は生まれつきの特性により得意なことと苦手なことの差が大きく、感覚などの違いをもつために日常生活に困難を抱える障害です。「発達しない障害」ではなく、発達のスピードに凸凹があり興味に偏りが見られます。

うちの子供たちは見た目でも障害をもっていることはわかりませんし、おそらくよほど詳しい人でない限り話しても気付かれることはありません。

娘はとても活発で明るくよくおしゃべりをする女の子、息子は大人しいおっとりした少年、そう見える程度です。しかしそれぞれに社会生活に困難を抱えています。うちの子供たちの場合は主に社会性やコミュニケーション面での困難があります。

私の子供たちは理解ある周りの方々に恵まれ、充実した支援環境の中で育っています。スピードの凸凹はありますが、確実にできることを増やし学び続けています。これは今の体制を築いてくださった行政の方々、専門職など支援者の方々、同じく障害児を育てる先輩保護者の方々の努力の上に成り立っているものです。

そして、発達障害というものを知ろうとしてくださる一般の方々、発達障害児というくくりではなく、私の子供たちをいち個人として接してくださる周りのみなさまの暖かいお気持ちに支えられています。

 

サポートを受ける前の私たち親子

専門家につながることができたのは娘が4歳、息子が2歳の時でした。

娘は暴れて座って食事をすることもできず、「危ない!」といっても全く人の指示には従わない子でした。歯磨き一つでこの世の終わりのように泣き叫び、外に出れば興味にまっすぐ走り抜け一瞬で消えてしまいます。

特に身体的にも知的にも発達の遅れがなく流暢にしゃべる娘。検診で問題を指摘されたこともありません。当然のことながら周りから「しつけが悪い」という評価をされてしまいます。

私はなんとかしなければとどんどん娘に厳しく接するようになりました。しかし娘は変わりません。障害でできないことを厳しくして無理やりさせようとしていたのですから当たり前なのです。視力の悪い人に根性で見ろといってもできないのと同じです。

それに気づいていなかった私は益々追い詰められ、そして娘を追い詰めました。

 

世間の目が怖かった。

外に連れて行くのも苦痛だった。

振り上げた手を何度も食いしばって下ろした。

一緒に消えてしまいたいと脳裏をかすめたことも何度もあった。

 

娘に吃音が出るまで追い詰めました。(吃音の原因は様々で、一概にストレスが原因とは限りません)ダメな母親です。支援に繋がるのがもう少し遅ければ、虐待に走っていた可能性は大きかったと思います。いや、すでに虐待だったのかもしれません。

そんな私たち親子に支援につながる手を差し伸べてくださる方が現れました。

 

ありがとうを伝えたい

私の子供たちは運よく幼児期に専門家に繋がることができ、療育をうけ、幼稚園や小学校で特別支援教育の理念の下にサポートを受けています。

そして周りの方々にもひとりの子供として受け入れていただいています。

もし、未だ子供たちの困難に気づかず支援を受けていなかったら、今の子供たちの困難はもっと大きかったことでしょう。

「障害」といっても苦手なことが一生涯できないわけではありません。適切な環境があれば苦手だったことも少しずつ伸びていくのです。できないことも工夫で補う力をつけることもできます。

片時もじっとしていられなかったADHD(注意欠陥多動性障害)の娘が、通常学級で一日中座って授業を受け、毎日楽しく学んでいます。

自閉症スペクトラムを持ち、人のいる遊具に近寄ることもできなかった息子がみんなと一緒に運動会に参加しています。

まだまだたくさんの苦手を抱える子供たちですが、周りの方々に支えられこれからも伸びていきます。いずれ障害という枠がなくても社会に出られる可能性もあるのです。

今では息子が支援学級に在籍しているので何かの障害をもっていると周りの方々は当然知っていると思いますが、交流学級(一般のクラス)でもクラスメイトの一員として受け入れられています。保護者の方々も半分は幼稚園の頃から一緒ですので息子個人を知ってくださっています。

「障害児の○○くん」ではなく、「○○くんには何か苦手なことがある」という受け止め方をしていただいています。

もちろんいろんな考えの方がいらっしゃるので、障害児だからなにをするかわからない、怖いと思われていらっしゃる保護者の方もいることでしょう。しかし特に分け隔てのない環境があるおかげで、私の子供たちは直接、障害による差別で傷つけられた経験はありません。

これは本当にありがたいことです。差別というのは無意識でも誰の心の中にも存在するものです。どこまで自分の中の差別を自覚し表出するかはその人の人間性や環境によるものでもあると私は思っています。

当たり前に私の子供たちを受け入れてくださる周りの方々、そして少しでも関心を持ちこの記事を読んでくださる方々に、心から感謝いたしております。

本当にありがとうございます。

 

 困難を抱えたすべての子供たちに適切な支援環境を

 私の子供たちはとても「恵まれた支援環境」と書いたのは、これが同じ日本国内でも地域によっては当たり前ではない現実があります。地域格差がものすごく大きいのです。

幼稚園や保育園に障害を理由に門前払いをされる、支援学級が完全に隔離され排除の場となっている、知的な問題がないお子さんでも通常のカリキュラムの教育を提供されない、中学校で内申書をもらえないため公立高校受験に挑戦することもできない。

受けられる療育機関がない、あっても専業主婦家庭でないと通えない、金銭的にも負担が大きい。

このように、たまたま住んでいた地域によって全くと言っていいほどサポートが受けられない現状があります。

文部科学省の調べによると通常学級に在籍する生徒の約6%に発達障害傾向が見られるそうです。普通のクラスでも一人か二人はいるということです。実はとても身近な存在なのです。

適切な支援があれば社会で活躍し還元できる力を持つ子供たちも多く含まれます。そうでなくても子供たち一人一人は健全に育って社会の中で生きていく権利があります。

多くの方に知っていただくことで一人ひとりの意識が少しでも変わっていけば、日本中の困っている子供たちが適切な支援を受けられる環境が実現するかもしれません。

大きな社会はひとりひとりが寄り集まって出来ているのですから。

私たちは世間のみなさまと同じく社会を構成する一員として、共に暮らして生きています。あたたたちの身近にいます。

 

4月2日は世界自閉症啓発デー

4月2日は国連の定めた世界自閉症啓発デー、そして4月2~8日は発達障害者啓発習慣です。

 今回は多くの発達障害当事者、保護者、支援者の方々と一緒に「嬉しかった配慮に感謝の言葉を発信していこう」というコラボ企画を呼びかけています。

上にリンクした成人当事者でもあり先輩保護者でもあるふみきちさん(id:fumikichi2525さん)のツイートにヒントを頂きました。

nanaio.hatenablog.com

 発達障害を持つことで困っているのは本人だけではなく、周りの方々も困っています。違いがお互いの障壁になっているのだと思います。

少数派である私たちのほうから情報を発信することで、少しでも身の回りの困ってる困った人達との間で、どうすればお互いにストレスなく過ごせるかのヒントになればと思い今回の企画を思いつきました。

4月2日に向けて続々とコラボ記事やツイートが集まる予定です。別記事にてリンクをしていきますので是非とも目を通していただけたらありがたいです。

(4月1日にコラボ記事などのリンクをした記事をアップする予定です!)

f:id:nanaio:20101114185633j:plain

 4月2日は世界中で有名な建物が青くライトアップされます。日本でもあちこちでライトアップされます。

青く美しい光で、私たちの存在に思いをめぐらせていただければ幸いです。

 

たとえばうちの子たちの場合

 <娘の場合>

短期記憶に苦手があります。指示をするときに同時にいくつか出されると記憶からこぼれ落ちてしまいます。指示はひとつずつ簡潔に、もしくはメモなどで忘れても確認できる形にしていただければできます。

注意がいろんなところに飛び散りやすいので、なにかをしなければならない時は音、映像、物など不必要な刺激ができるだけ少ない環境なら取り組みやすいです。

<息子の場合>

言葉を字義通りにとらえるので、あいまいな表現は判断が難しいです。たとえば4歳の時「四角に名前を書きましょう」と言われて書けませんでした。文字はもうとっくに書けるようになっています。四角に「なまえ」と書くのか自分の名前を書くのかわからなかったのです。一度間違えたことはできるようになっていますが、今でも初めての抽象的な指示はどうしていいのかわからず、固まってしまいます。具体的な指示をしていただければありがたいです。

不安が強く見通しがたちにくいため、なにか新しいことをするときは終わりの目安や手順をおおまかでも伝えていただければ安心して取り組めます。

発達が気になる子への生活動作の教え方―苦手が「できる」にかわる!

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 同じく発達障害という診断をもつふたりも全く違うサポートを必要としています。「できないこと」が言葉の言い回し、ちょっとした環境次第で「できること」に変えられることは多々あります。このような周りの方のご理解や心遣いがこの子たちの「めがね」の役割になるのです。

もちろん本人たちもパターンを学び、周りの多くの方々と共にやっていけるよう努力を続けています。応用が利きにくい特性をもつため、多くの方がオートマチックでできるようになることが、一つずつマニュアルで覚え操作していかなくてはなりません。そのぶん負荷が大きいためキャパシティーが限られてしまうこともあります。

 

一般の方々と同じく、発達障害を持つ人々も千差万別です。子供だけでなく大人も発達障害を持ちます。発達障害だからこうすればいいという決まったものはありません。全く逆の対応が必要な場合もあります。

もしもあなたの周りに困っている、困った人がいれば、ひとりひとりを見て、何に困っていて、どうすればお互いにとっていいのかコミュニケーションをとっていただけたらありがたいと思います。

お互いをもっと知ることで、お互いが気持ちよく過ごせる社会の実現を願っています。

自閉症をはじめとする発達障害を知っていただくことは、発達障害を持つ人だけでなく、誰もが暮らしやすい社会の実現にきっとつながります。

みなさまのご理解とご支援をお願いいたします。

nanaio.hatenablog.com

 賛同してくださるみなさまから寄せられたコラボ記事のリンク集です!

nanaio.hatenablog.com

 みなさまから寄せられたコラボツイートをリンクしています!是非こちらも!

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