うちの子流~発達障害と生きる

発達障害を持つ子供たちとの日々をつづります。

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あれから約1年、50円東大生と発達障害の数学少年が再会しました。

昨年の3月、Twitterで見つけた「東大生の一日を50円で買ってくれませんか?」という記事に飛びついて、当時8歳の息子と数学を語ってもらいました。東京からわざわざ遠く離れた岡山まで来ていただいて。

nanaio.hatenablog.com

 息子は広汎性発達障害と診断されており、刺激に弱く不安の強い大人しい子です。特別支援学級で学ぶ現在小学3年生(当時は2年生)。苦手なことも多いですが、ただひとつ、小さい頃から算数・数学に関しては飛びぬけて強い興味をもっています。

ブログ記事にしたところ大変大きな反響をいただき、50円東大生高野さんのその後のご活躍で、書籍化したり新聞記事になったりいろんな動きがありました。

このことがひとつのきっかけとなって新しいサービスが始まりました。

www.makuake.com

 『Branch(ブランチ)は、アスペルガー症やADHD(注意欠陥・多動性障害)などの発達障害児と、その子供達が興味を持っている分野の学生や専門家などをマッチングさせ、発達障害児の才能を伸ばすWEBサービスです。』

クライドファンディングでもあっというまに目標金額に達成し、現在は関東圏で1対1の訪問サービスが始まっています。

そのBranchで近々ビデオチャットによるサービスが始まるとこれまたTwitterで見かけたもので、代表の中里さん(めっちゃイケメン)(そこじゃない)に息子と高野さんの再会をテストとしてお願いしてみました。

高野さんはBranchのメンターさんとして登録されています。ビデオチャットならば全国どこでも繋がることが可能になるのです。

高野さんとうちのスケジュールを調整していただき、スカイプを使ってカメラと音声のテスト、事前になにをお話したいのか息子からある程度聞き取って準備をしました。

息子もまた高野さんとお話できると決まってとてもわくわくしていたようです。

 

 ビデオチャット当日

 2月15日、夜の7時から8時までの1時間の予定でした。書籍を発売されたばかりの高野さんはとてもお忙しく、当日も夕方までラジオに生出演されていました。

うちはうちで夕方5時過ぎに放課後デイサービスから子供たちが帰宅し、あわててお風呂と夕飯を済ませ、普段はパジャマタイムですが外着をきて、汚部屋のカメラに映りそうなところ(だけ)を片付け、まだハゲてる母はヅラをセットオン!(乳がん治療中です)(ぼちぼち元気です)

 わが家にはもう一人、ADHDとアスペルガー症候群と診断されたスパイシーな娘がいます。彼女がいるとがんがん前に出てくるため大人しい息子が話せないので、その間は別室でのこった宿題をやってもらうことにしました。(といってもちょろちょろ出てきました)

スカイプを使うのでパソコン、タブレット、スマホでも可能ですが、汚部屋があちこち映らないようパソコンでオンラインにしてスタンバイ。息子には緊張して忘れないよう事前に聞き取ったメモを持たせました。

ちょうどお約束の7時にかかってきました。

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 息子の質問

息子が高野さんに聞いてみたかった質問は3つ。以下は息子から聞き取ってほぼ本人の言葉のまま私がメモしたものです。

 ①1が並ぶ整数は、11以外は素数にならないのか(9桁までは確認済み)

 

②ベン・フォードの法則はどうやって証明したのか

 

③運動中の物体は光の速さに近づくほど重くなる。エネルギー保存の法則、質量保存の法則はどうなるのか?減速するとエネルギーも同じように放出して質量も元に戻る、だけどその時に核現象が起きたらエネルギー保存の法則はどうなるのか?運動中の物体は質量がエネルギーに換算される効率が悪くなる、でも質量には運動エネルギーが働いているから運動エネルギーがなくなって、そのぶんのエネルギーを核現象から得られるエネルギーから失う運動エネルギーは悪くなる効率の割合と同じ、と考えたがこれで合っているのか。

 特に③、私の腹から出てきたはずのわが息子ですが、なにを言ってるのかさっぱりわかりません。息子はこんな疑問が毎日のように浮かぶようで、毎日のようにこのような疑問をぶつけられています。

文系高卒の母に。ええ、困りますとっても。助けて東大生。

調べられるものは一緒に検索して調べていますが、息子はまだ高校数学Ⅰまでしかやってないので、微分積分などがわかりません。高校生大学生以上に向けた証明は読んでもなかなか理解できないのです。母も微分積分やΣはやったはずなのに記憶が行方不明で教えられません。ドコイッタ私の記憶。

 

 東大生高野さんと息子の会話

  ビデオチャットがはじまり、最初は私が高野さんとごあいさつ。緊張している息子を連れてきて①の質問からはじめました。11111・・・と並ぶ整数に11以外に果たして素数は現れるのか?

ふたりで紙に書いたり計算機を使ったりして検証が始まりました。高野さんはこれは証明する方法があるはずと考えてくださっています。高野さんにヒントをいただきながら息子は、1が偶数桁のものは11で割れるので素数ではない、奇数桁のものの中で、3や5や7の倍数になるものは割れるから、素数桁のものだけを調べるとよいのではないかと思いついたようです。

黙々とお互い計算をしているうちに30分が経過。半分過ぎたので次の話題に切り替えました。

ベン・フォードの法則は、高野さんいわく大学生以上の問題らしく、その証明は息子にはまだ理解できないであろうということでパス。

③の運動中の物体の話になりました。さすが東大生、息子がなにを言いたいのか理解してくれています。高野さんがおっしゃってた相対性理論の話で息子が納得したらしく、わかった!と言っていました。あとで息子にきいてみたところ、相対性においては息子の言っていたことはおそらく正解だと思うとのことでした。(意味わからん)

1時間、ずっと横にいてふたりの話を聞いていましたが、母はこの程度しか理解できなかったので、現場からは以上です(´・ω・`)

www.youtube.com

 あちらで中里さんが撮影してくれたビデオチャット中の高野さん。終わったあとのインタビューもあります。

www.youtube.com

息子は決して大学レベルの高度な数学を理解しているわけではありません。興味があることを覗いては、疑問に思うことが次々とわいてくるだけなのです。

高野さんはぜんぜん答えられなかったとおっしゃっていますが、一緒に問題に向かってくださったことで息子はたくさんのヒントを いただきました。教えてくださった物理のお話はしっかり腑に落ちたようでした。

 

発達障害児と大人をつなぐこと

子供は学校など子供同士のつながりの中で少しずつ世界を広げていきます。

ただ、社会性やコミュニケーションに困難を抱えた発達障害児の中には、子供同士の付き合いがまだ難しかったり、うちの息子のように興味関心が周りの子供達と合わない子もいます。

子供から見える世界はとても狭いもの。勝手になにかに出合うことは少ないです。だから大人がそのチャンスを広げる手伝いをしていく。親だけでなく多くの大人が少しずつ関わることによってたくさんの世界を見せていく。

その中から子供自身が興味がもてるものをチョイスしていくのだと思います。

息子は自分の興味があることに偶然出会いました。それはたまたま人の興味を引きやすく、子供として評価されやすいものだっただけなのです。不安ばかりで大人しい息子に自信を持ってほしくて、興味に付き合っていくうちにどんどん私の手に負えないレベルに行ってしまいました。

 

「好き」 は生きる糧となる

発達障害があるからといって、なにかに必ず秀でているということはありません。

実際に私の娘もいろんなことに興味を持っても、これといって得意なことは見つかっていません。

それでもなにかに興味をもったり、好きなことは見つけられます。

特に「才能さがし」などをしなくても世界を広げていけば好きなことに出合います。

それが才能と呼ばれるものでなかったとしても、好きなことがあるというのは生きる糧となるものだと思います。

同じ興味を共感できる人に出会う、好きを誰かと共有できる体験は、社会性やコミュニケーションに自ら進んでチャレンジできる第一歩となるでしょう。

発達障害の特性、極端な興味の偏り、本人の性質があいまって、息子はそういう体験が日常の中にほとんどありませんでした。

 今回、branchさんの新しいサービスということで、私のリクエストで数学好きの息子と東大生高野さんを再び繋いでもらいました。branchではお子さんの興味に合わせていろんな学生さんや専門家(メンターさん)とマッチングをしてくれます。メンターさんも今後も増えていくそうです。

ビデオチャットでのサービスが始まれば全国どこにいるお子さんでも、そのチャンスが広がります。

 

 ビデオチャットで療育や保護者支援サービスもできるかもしれない!

 

療育や支援サービスには非常におおきな地域格差があります。

子供の発達について相談できるところがない、療育や家庭での支援についてプロに伺いたいけども近くに行けるところがない。

なんと日本全国どこからでも、ビデオチャットを使って心理士さん、言語聴覚士さん、作業療法士さんなど療育や発達障害のプロに相談できるようになるかもしれません!グループチャットもはじまるそうで、もしかしたらペアレント・トレーニングなんかも可能かもしれません!

これが実現できたら本当にすごいサービスだと思います。

あったらいいな~だけではなく、利用してみたいという方は是非、中里さんにDMかメールを送ってみてください。ニーズがあれば事業として展開してくださるそうです!

medium.com

 こちらは今回のことを中里さんが書かれた記事です。branchのサービスや今後の展開についても詳しく書かれています。

 

高野さんの50円企画で体験されたお話が本になりました。第一話に息子との話を書いていただいています。

 

今回、東大生の高野さんと再びお話させていただいたことから、なんと数学で日本代表までなさった方と息子を繋いでいただけるかもしれないというお話をいただきました。

なんてビックなチャンスでございましょう。かーちゃんびっくりです。

息子も目をどんぐりにして喜んでいました。

今後のお話もまた報告できればと思います。

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