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うちの子流~発達障害と生きる

発達障害を持つ子供たちとの日々をつづります。

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リスパダールと不安の強い息子 自閉症スペクトラム児の薬物療法

息子はとても不安の強い子です。受動型といわれるタイプで大人しく自分からトラブルを起こすことはめったにありません。

自閉症スペクトラムの特性である社会性やコミュニケーションやこだわりなどの問題は持っていますが、困っていても周りに迷惑をかけないため見落とされやすいタイプです。

うちの場合はたまたま娘がADHDと積極奇異型のアスペルガー症候群で診断までたどりついたため、息子の困難も見つけてもらうことができました。娘のことがなければ息子の困難には親の私でもなかなか気付けなかったと思います。それくらい手のかからない子でした。

でも息子はひとりでずっと困っているのです。

現在8歳になる自閉症スペクトラムの息子は昨年からリスパダールを処方されています。診断がついたのは2歳の時。今までは特に発達障害に対して薬の処方はされておらず療育や特別支援教育で対応していました。ところが日常のストレスから元々強かった不安がさらに増してしまい投薬になりました。最初はとんぷくで処方されましたが今は毎日飲んでいます。

今日は投薬に至るまで、保護者として迷い悩み決断するまでの過程と、薬に対する私の考えを書きました。投薬に至ったひとつのケースとして読んでいただければありがたいです。

 

リスパダール(リスペリンドン)はどんな薬?

リスパダールは第2世代の抗精神病薬です。統合失調症の治療薬としてよく使われるお薬だそうですが、自閉症スペクトラムに対しても2016年2月に正式に承認されました。

抗精神病剤「リスパダール®」小児期の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性の適応追加承認取得|ヤンセンファーマ株式会社のプレスリリース

現在エビリファイも小児期の自閉症スペクトラムに対して承認申請を行っています。

<リスパダールの作用>

 【働き-1】
気持ちの高ぶりや不安感をしずめるほか、停滞した心身の活動を改善する作用があります。そのような作用から、統合失調症にかぎらず、強い不安感や緊張感、抑うつ、そう状態などいろいろな精神症状に応用することがあります。
【働き-2】
心の病気の一つ「統合失調症」は、脳の情報伝達系に不調を生じる病気です。現実を正しく認識できなくなったり、思考や感情のコントロールが上手にできなくなります。幻聴など幻覚、妄想を生じることも多いです。

このお薬は、そのような脳内の情報伝達系の混乱を改善します。おもな作用は、ドーパミンとセロトニンという2つの神経伝達物質をおさえることです。2つをおさえることで、統合失調症の陽性症状(幻覚、妄想、興奮)と陰性症状(無感情、意欲低下、自閉)の両方によい効果を発揮します。
【薬理】
脳内のドパミン2(D2)受容体を遮断することで、ドーパミン神経系の機能亢進により起こる陽性症状をおさえます。また、セロトニン2(5-HT2)受容体を遮断することで、ドーパミン神経系の働きがよくなり、陰性症状が改善します。このような作用メカニズムからから、セロトニン・ドーパミン拮抗薬(SDA:Serotonin-Dopamine Antagonist)とか5-HT2/D2拮抗薬などと呼ばれています。

 リスペリドン:リスパダール より引用

正式に自閉症スペクトラムに対して承認されたのは最近ですが、リスパダールやエビリファイは以前から発達障害児によく処方されている薬です。

 

リスパダールを処方されたきっかけ

息子は以前からなかなか寝付けない子でした。寝起きも悪く午前中はテンションが低いのですが、なぜか夜になるとだんだんハイテンションになり寝る時間のころにMAXになっていました。その状態ではなかなか寝付けません。

就寝時間の1時間前にはテレビやゲームなどのメディアはストップ、読書などをして過ごし気持ちを落ち着かせる工夫もしてみました。それでもなかなか眠れるようにはなりませんでした。次の日の学校を考えると本人も早く寝ないといけないのがわかっていて、眠らなきゃと焦れば焦るほど眠れず、泣き出してしまうこともありました。

本当に本人も辛い思いをしているので、医師に相談したところ頓服としてリスパダールを処方されました。どうしても眠れなくて辛いときに飲むことになりました。

リスパダールは娘が何年も前から処方されている薬です。副作用として眠気があり、娘も夜飲んでのび太かよ!と思うくらい布団に入ると一瞬で寝ています。娘の場合は眠るためではなく脳内多動を落ち着かせたり感情のコントロールをしやすくするために処方されています。

 

 息子の不安

息子がなかなか寝付けない原因は、布団に入っていろんなことを考えすぎ不安が止まらなくなることです。手入れをしていても布団の中にはダニが何万匹もいて、空気中にはホコリがたくさん舞っていて、今ぼくが呼吸をするとダニやほこりがぼくの体の中に入って、ぼくはアレルギーがあるから・・などと考えているのだと。

アレルギーがあるため空気清浄機もかけっぱなしにしていますが、その空気清浄機がぶおーっと反応してもホコリがいっぱいあるのだと不安になるそうです。

他にもいろんなことを考えているようですが、これはちょっとまずいなと思いました。息子のように不安の強い子は強迫的になりやすいそうです。このままだと強迫神経症などの二次障害に至ってしまうのではないかと。他のストレスもあいまって不安がより強くなっているようでした。主治医に相談し、とんぷくだったリスパダールを毎日飲むようにしてもらいました。

最近は冬だったということもありまた調子を崩し気味の息子ですが、リスパダールを飲みはじめてから寝つきも少しよくなりましたし、布団の中での考え事も不安を強めることではなく好きな数学について考えることが多くなったようです。

 

子供に精神薬を飲ませることに対する不安

かわいいわが子に精神薬を飲ませるのはできれば避けたい、不安だ、そういう気持ちはみなさん感じていらっしゃることだと思います。もちろん私もそうでした。

最初に投薬を勧められたのは娘が5歳になるかならないか、発達障害と診断がついて間もない頃でした。娘のADHDを疑っていたもののなかなか専門家と繋がることができず娘も私も限界がきていました。薬を使って娘が落ち着けば、私にも余裕が出来るだろうというお話に非常に抵抗を覚えました。こんな小さい子に薬を飲ませるくらいなら私が飲みます!と言ったものでした。

nanaio.hatenablog.com

 今から考えれば、親子関係の修復のためにという主治医の判断は正解だったと思います。保護者である私に気持ちの余裕がなければ適切な対応をすることもできません。それは娘にとっても決してよいことではありませんでした。特に小さい子にとって、親は世界の多くの部分を占めます。親の辛さや苦しさは子供に直結しやすいのです。

主治医は無理に勧めることもなく私の子供へ薬を飲ませることに対する不安や疑問に丁寧に付き合ってくださいました。決断するまでは半年ほどかかったと思います。

nanaio.hatenablog.com

 もちろん薬には合う合わない、副作用もあります。最初はごく少量からはじめ、様子を見ながら微妙な調整も必要です。子どもの体の変化や成長によっても変わってきます。

服用することを決断した後も、いつまで続けるのか、薬をやめられるのかなどの心配がつきまといます。一時的にはよくても長期服用となるとどうなのか、不安ですよね。

私自身も長くその不安を持っていました。娘はリスパダールとコンサータで途中やめたこともありますがもう5年の長期服用をしています。いつやめられるのか、このまま飲みつづけなければならないのか。

結局は小さい子に対する処方は親の決断次第。それに対する罪悪感があったのだと思います。だから早くやめさせなければという焦りがありました。

でも答えは娘本人が出してくれました。成長にともない娘は薬を飲んでいる時とそうでない時の自分の変化についてはっきりわかるようになり(コンサータは12時間で切れるよう設計されている薬で学校に行かない日は休薬しています。)自分の状態を見ながら今薬が必要かどうかを判断し調整できるように徐々になっています。休薬している夏休みの間でも「今日は集中してがんばりたいから」とコンサータを飲む日もあります。説明書を読むのが大好きなので薬の作用も副作用も私以上に熟知しています。

長期服用をしていても飲まない日は別に平気なようですし依存症状も今のところは全く出ていません。

おそらく今後、成長することで薬がなくてもやっていけると自分で判断すれば彼女は自分から薬をやめるでしょう。必要だと思えば続けると思います。

コンサータの場合は効いている時間が限られるためはっきりしていますが、リスパダールは継続して飲んで効果のある薬なのでわかりにくいかもしれません。

しかし今は私の説明の元でリスパダールを飲みはじめた息子もいずれは自分で判断することが出来る時期が来ます。今は息子の辛さを軽減することを一番に考え投薬に踏み切りました。

息子のように繊細で過敏なタイプはうつ病などの二次障害のリスクが高いのです。状態を丁寧に見て防げるものなら防いでいかねばなりません。そのための投薬です。

不安をやわらげるために本を読んだりトレーニングもしてきました。これで眠れるようになったり効果を感じた時期もありました。しかしキャパオーバーしてある程度以上に強くなりすぎた不安をコントロールすることは難しかったようです。自分でコントロール不可だから障害なのですが、こうなると薬の手助けが必要だと判断しました。

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 薬を飲んだからといってぴったり不安が止まるわけではありません。薬で和らいだ不安をこの本にあるような方法でコントロールしていくことが出来れば一番いいと思います。

 

 発達障害児の薬物療法とは

発達障害は生まれつきの特性でありその特性がなくなることはありません。しかし成長に伴い凸凹の凹んだ部分に対して自分なりの工夫を見つけ、社会に適応していく場合も多くあります。人間は社会を作る動物である以上は、無人島でサバイバルでもしない限り社会と関わって生きていかねばなりません。多くの人と違った特性を持っていても適応して生きていかざるを得ないのです。

療育や特別支援教育、子供の特性に沿った対応は、その成長を助けるためのものです。しかし、障害と名のつく以上、本人の努力や環境調整ではどうしようもない部分が出てきます。そこをサポートするひとつの手段として薬物療法があると考えます。

治療薬といっても発達障害を完治させるものではなく一時的に症状を抑える対処療法です。一時的とはいえ、成長過程にある子供にとっては出来ることを増やし自信をつけて、心の成長を阻害しないためにも必要なケースもあります。日常の様々な出来事や、学校生活でのストレスから二次障害を起こしてしまう予防にもなります。

発達障害は生まれつきの特性ですが、二次障害は心の病気です。回復までに長くかかってしまい子供の人生を大きく左右してしまう場合もあるでしょう。防げるものなら防ぎたい。薬がその手助けになるなら、子供の笑顔を守れるのであれば、使ってみようと決断しました。

成人当事者の方々も二次障害を抱えながらお薬によって日常をコントロールし、前向きに暮らす方も多くいらっしゃいます。実際に自分が薬を体験することはできない分、当事者の方の発信はとても勉強になります。

fumikichi2525.hatenablog.com

ふみきちさんは発達障害の当事者でもあり、発達障害児を育てる先輩保護者でもあります。 

ふみきちさんも書いていらっしゃるように、私も薬物療法を勧めるわけではありません。

薬を使わずお子さんが健やかに成長されるのが一番よいと思います。そして薬を使う前にはまず環境調整などできる範囲の努力をやってみて、それでも困難が大きい場合は一つの手段として、うちは投薬を選んだという話です。

お医者様にお薬を勧められ悩む方々にひとつのケースとして参考になればと思い書きました。お薬の効果も副作用も人それぞれです。信頼できるお医者様と納得がいくまで話し合われた上で検討していただければと思います。

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