うちの子流~発達障害と生きる

発達障害を持つ子供たちとの日々をつづります。

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指さしをしない、クレーン現象と自閉症について。

自閉症の特徴の一つとしてクレーン現象があります。

なにかを要求する時に、人の手をもって代わりにやってもらおうとする行為です。

クレーンが物を吊り下げるような感じに似ています。

これは、言語をまだ獲得していない段階のお子さんの多くに見られるそうです。

なので、クレーン現象がある=自閉症ではありません。

自閉症児の場合、発語の遅れがみられる場合も多く、

(アスペルガー症候群など全く遅れがない場合もあります。)

言葉で要求を伝える手段を持たないために、頻繁にみられるケースが多いとか。

自閉症の特徴的な行動はいくつもあり、

逆に自閉症と診断されていてもそのすべての行動がみられるわけでもありません。

うちには自閉症スペクトラムの子供が二人いますが、

自閉症児によく言われる「目が合わない」ということは一切ありませんでした。

その他もろもろの診断基準に到達しているということで診断がついたのです。

 

うちの息子は、発語が遅く、1歳半検診の段階では

単語が「はい」と「パイ」の2つだけでした。

もちろん日頃の要求はクレーン現象でした。

当時はまだ診断がついていたわけではなく、私も全く知識がなかったので

クレーン現象に対して心配したりすることはなかったのですが

今から思えば、あーよくやってたわって感じです。

言葉が少しずつ増えるとともに徐々になくなってきました。

といっても発音が悪くてあまり通じなかっただけに

3歳ころまでやっていたような記憶があります。

うちは発達障害児しかいないので

普通のお子さんのクレーン現象は経験がないのですが、

なんとなく当時違和感があったのは、私に要求するというよりは

私の手を道具として使っているような感じはしました。

要求を行うのも必ず手で、服を引っ張ったり他の場所で

要求を表現することはありませんでした。

手を使おうとするか人に伝えようとするかの違いがあったように思います。

療育でもクレーンをやっているお子さんはたくさんいましたが

工作などの作業を自分でできることでも

恥ずかしいからお母さんの手を使ってやっているのではと

思えるケースも見受けられました。

 

クレーン現象は自分の要求を伝えるひとつの手段。

人と関わろうとするコミュニケーションの前段階です。

無理にやめさせようとするよりは、伝わることの喜びを大切にした方が

よいのではないかと私は思います。

他に伝える手段を獲得した時にクレーンは自然に消えていました。

言葉で伝えた方がクレーンよりは楽ですしね。

 

母子手帳を確認してみたのですが、1歳6か月の記録に

「絵本を見て動物や物の名前を聞くとそれを指さしますか?」

という質問に、娘も息子も「いいえ」にまるがしてありました。

今から考えるとああやっぱり・・といった感じです。

後に、「今から言うものをどれか教えてね」などと指示があれば

指さしで教えてくれるようにはなりました。

よく考えたら小学生になった今でもうちの子は

遠くのものを「ほら、あっちだよ」などと指さすことがありません。

代わりに言葉で伝えます。

通常はクレーン→指さし→言葉といった順序で発達していくようですが、

特有の認知のせいなのか、指さしを親が行っても意味が伝わらない。

たぶん普通のお子さんの場合、指さしをすると親の顔もみて

その方向をみるんでしょうね。

うちの子たちは指さしをすると指先をただ見つめていました。

いやいや、そこじゃなくって~と言いたくなりますが

自閉症児あるあるでよく盛り上がる話題です。

方向を示す矢印のようなものということは、何度も説明しないと

自然にはわからないようです。

うちの子も今では指さしの意味はちゃんと理解しています。

でも自分じゃやらないんですね~。なんででしょうね~。

特にそれで困ることも今はないので別に気に留めることもないかなと思っています。

 

クレーンで要求があった時は「○○が欲しかったんだね、どうぞ」や

なにかに興味を示した時には代わりにその物の名前を言葉に出して

「猫、かわいいね」などと指をさして見せるなど

普通の子育てでもやっていることでしょうが、特に意識してやってみると

言語など次のコミュニケーションに繋がりやすいのではと思います。

要求があるのに伝わらないということは子供にとっても大きなストレスです。

息子は言語がしっかりするまでは

毎日のように一時間以上ずっと泣き叫ぶ癇癪を起していました。

自閉症のパニックは今でも時折ありますが、

当時の激しい癇癪は言葉を使えず要求が伝えられないことが

大きな原因だったのではと思っています。

なのでひたすら息子の言おうとしていることを

代わりに言葉に出して探っていきました。

発音が悪かった時代も通訳を繰り返していました。

どこかで聞いた話ですが、言葉はコップのようなもので

少しずつため込んで、溢れる時に口からでてくるようになるんだよと。

今では発達検査で言語優位のアスペルガーだと言われていますので

語彙は実年齢よりかなり豊富で、家ではとってもおしゃべりです。

息子のコップは少し大きかったのかもしれません。

 

1歳、2歳、3歳くらいで、お子さんにクレーン現象がみられて

もしかして自閉症かも?と心配される方も多いと思います。

クレーン現象はあくまで自閉症によく見られるだけで

クレーン現象をやめさせれば自閉症が治ったり、

ならなかったりするわけではありません。

クレーン現象をしているから自閉症になるわけでもありません。

自閉症には「三つ組みの障害」と呼ばれる特徴があり、

それに該当するかどうかが診断基準となります。

一つは社会性の問題。

人に対しての興味が薄かったり、

逆に興味はあっても極端に一方的な関わりだったりします。

二つ目はコミュニケーションの問題。

言語の遅れがみられる場合や、言語はあっても字義通りの解釈をしたり

独特な表現を好んだり、非言語コミュニケーションの理解が難しい。

三つ目は想像力の問題。

強いこだわりや、見えていないものを想像することが困難です。

常同行動や予定変更に弱いの特徴の一つ。

もし、この中で該当するものが多ければ

必ず自閉症スペクトラムの診断がつくと言うわけではありませんが、

早めに専門家にご相談されると

お子さんの先々の困りごとを減らす手掛かりがつかめるかもしれません。

 

もし発達障害であると診断されても

それはお子さんに一生涯障害者と言うレッテルを貼る行為とは限りません。

診断がついていても、特性に沿った育て方や手段を多く手に入れることによって、

社会に適応して生きている人も数多くいます。

早期発見、早期療育によりその可能性をより高くすることが出来るのです。

4歳でアスペルガーとADHDの診断がついたうちの娘も

学校との連携や先生方の適切な配慮により

今のところ特に問題なく通常学級に通うことが出来ています。

支援学級に通う息子も、二次障害を防ぎ楽しい学校生活を送る為に

適した支援の受けられる環境で学ぶことが出来て、

知らずに育てたよりも現状ではよい状態が保てている思っています。

発達障害児に対する療育や特別支援教育の手法は

普通のお子さんにとってもとても有効なものです。

検査を受け専門家や医師の判断を仰ぐことは

お子さんの成長にとって決して損にはならないことだと思います。

一人で悩むよりも是非一歩を踏み出してみてください。

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