うちの子流~発達障害と生きる

発達障害を持つ子供たちとの日々をつづります。

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ダウン症の従兄ときょうだい児の苦悩の話

私にはたくさんのいとこがいますが、

その中のひとりがダウン症という障害を持って生まれました。

私と歳も近かったのですが、

知的障害もかなり重いのでしゃべることもなく

一緒に何かをして遊んだ記憶はほとんどありません。

いつもテレビの前にいて、あーあーうーうー言っていました。

ダウン症の人にも人懐っこい方もたくさんおられますが

私の従兄は積極的に人に関わろうとするタイプではなかったようです。

それでも親戚がよく集まる家でしたので

子供達が皆同じ部屋で過ごし、誰ともなくトイレに連れて行ったり

サポートをしていたような記憶があります。

ハンディキャップはあるけれど普通に従兄弟の中の一人として

皆受け止めていたように思います。

 

ただ、身辺自立もほとんど出来ていないようでしたので

家族は大変だろうなぁというのは子供ながらも感じていました。

ダウン症の従兄にはお兄ちゃんが一人います。

明るくておもしろくてとても優しいお兄ちゃんです。

私が小学校高学年の頃だったでしょうか、

親戚が集まっていた時に、祖父の部屋へ行こうとすると

そのお兄ちゃんと祖父の声が聞こえました。

話の内容から祖父の部屋へ入りづらく、外でしばらく聞いていました。

お兄ちゃんは当時高校生くらいだったと思います。

「このままでは俺は結婚することも出来ないかもしれない。」

と号泣していました。

衝撃的でした。

いつも明るく弟の世話も積極的にやっていたお兄ちゃんが

こんな重い苦悩を抱えていること。

家族の大変さはなんとなくわかっていたとはいえ

兄弟の肩にのしかかったものがこれほど重いとは

子供の私にはそれまで想像することも出来なかったことでした。

きっと、誰にも話せなかった辛い気持ちを

祖父に吐き出していたのでしょう。

優しいお兄ちゃんですから共に苦労している親には言えない。

祖父はただ聞いてお兄ちゃんの気持ちを受け止めていました。

ふすまの向こうで私は呆然と立ち尽くしていました。

 

それから子供の頭なりに色々と考えました。

ダウン症の従兄は、重い知的障害を併発していて

知能は3歳くらいのままだと聞いていたし、

おそらく家族の大変さを理解することも難しい。

それでも家族は一生をかけて彼をサポートしていくのです。

お兄ちゃんと結婚する人ももちろん一生関わっていくとなると

なかなかその苦労を引き受けてくれる人はいないのだろうな、

差別なんだろうけど、自分だったらどうするだろう、

親の立場なら当然反対するだろう、

それは仕方がないことなのかもしれないなどと

あたまの中でぐるぐるぐるぐる・・・。

何の答えも出ないのですが、しばらくは頭から離れませんでした。

親戚と言えどもその生活を一部垣間見るだけで

実際に責任を持って暮らす家族の苦悩や大変さは

他人が感じ取れるほど小さなものではないでしょう。

計り知れないほど大きなものなんだろうなと。

 

それからすぐ後に、私の通っていた小学校から

一部が新しい小学校へ行くことになりました。

私の世代の少し下は団塊ジュニアと呼ばれ人数の多い世代ですので

その頃は新しい小学校が次々と作られていました。

二つの小学校の間に出来たので、それまで二つの学校に通っていた一部が

合流する形となりました。

その隣の小学校の「特殊学級」にダウン症の従兄が通っていました。

今でいう「特別支援学級」の知的クラスです。

従兄本人は隣の小学校のままだったのですが、

私の旧姓は数が少ない名前で、隣の小学校から来た子にすぐに言われました。

「お前、特殊学級の○○の親戚?」

「いとこだけどそれがどうしたの?」

「やーい、やーい、○○のいとこだってー」

正確にはこんな言葉だったかどうかは記憶していませんが

ダウン症のいとこがいるという事実だけで何人かからからかわれました。

ハンディキャップを抱えた従兄の事をそのように言われるのもおかしいと思ったし

そのことでからかうとか意味わかんない!と無視しつづけているうちに

誰も言わなくなったので、いじめと言うほどのものでもなかったのですが

障害を持つことは世間からこんな風に扱われるのだなというのを

初めて実感した出来事でした。

障害を持っているというだけで、

従兄は彼らに直接なんの迷惑もかけていないのに。

(従兄は他害をするようなタイプではなくおっとりと大人しい人でした。)

今のように交流学級などに参加することもほとんどなかったでしょうし

お世話係を押し付けられたという事実もなかったはずです。

 

そんな私も今では二人の障害児の母となりました。

従兄ほど重度の障害ではないにしろ、

「障害」という言葉が持つ世間からの偏見は、自分が一部体験しただけに

とても重く感じられました。

息子を特別支援学級に入れるにあたり、

これが一番悩んだところでした。

息子本人が理不尽な差別をうけないか、

通常学級に在籍する娘もこのことが原因で

からかわれたりいじめられたりするんじゃなかろうか。

 

幼稚園の頃に保護者同士の付き合いも多いので

隠したままじゃ付き合いづらいし子供の障害をカミングアウトしたいと言ったら

園長先生にやめたほうがいいと言われたこともありました。

理解して下さる方もいるけども、

あの子とは遊んじゃダメって子供に言い聞かせる親も結構いると。

そういうこともあり余計に悩みました。

 

実際に支援学級に入って、うちの子が通う学校では

今の所そのような心配は一切しなくてよかったようです。

先生方のサポートが素晴らしく、

娘の通常学級で先生が息子の得意なことを話して下さったそうで

なぜか娘のクラスメイトに興味を持たれて息子が囲まれるなど

おもしろい状態になっているみたいです。

高学年になるとまた周りの子供達も変わってくるのでしょうが

今の所支援学級の子供が交流学級などでいじめられたと言う話は聞いていません。

 

ダウン症の従兄ももう50が近いですが、元気に暮らしているようです。

ダウン症があると心臓疾患を持ち合わせている場合が多いですが

従兄は小さい頃に手術をしてからは問題なく育ちました。

今も家族と一緒に暮らし、作業所へ通っているそうです。

お兄ちゃんは優しいお嫁さんが来てお子さんももう大きくなられたとか。

大人になってからあまり交流もないので噂で聞いた話です。

 

子供達が通っている児童精神科は大きな病院で

様々な障害を持つ方も多くいらっしゃる複合施設です。

なので子供達がいろんな障害を持つ人を直接見る機会はいままでも結構ありました。

NHKなどで障害を取り扱った番組も子供達と一緒に見ていますし

本人告知をしていますので子供達も自分も障害を持つ仲間であると知っています。

障害に向き合う人の姿を多く見せたいと思っています。

なのでうちの子供達は障害に差別や偏見をもってはいないでしょうが

障害とは関係のない世間の多くの人が

どういう反応や捉え方をしているか、はまだ知りません。

支援の行き届いた学校では理不尽な思いをすることも今の所ありません。

 

しかし、一生そういう環境の中で過ごすことは不可能です。

「障害」と言うだけで差別をされたり

偏見を持たれたりすることがある事実を知識ではなく体験として知った時に

子供達はどう社会の壁に向かい合っていくのか。

(知識としては少しずつ話しています。)

うちの子供達の場合、途中で大きな二次障害を起こしたりしなければ

障害をカミングアウトせず社会で生きていくことは不可能ではないと思います。

その為には様々な工夫をしたり本人の努力も必要ですし

障害とうまく折り合いを付けていかなくてはなりません。

自分の苦手なことを説明する力も、上手にサポートを求める力も

助けてもらう代わりにしっかりと自分が出来ることをやっていく力も必要。

その道で生きていくのか、

それとも障害をカミングアウトした上で

適切な支援を受けながら社会に出て行くのか、

それは子供自身が大きくなってから選べばいい。

親として出来ればどちらでも本人が選べるように

門戸を広げる手伝いが出来ればいいなと思っています。

 

きょうだい児の問題はうちの場合二人とも発達障害なので

普通のお子さんがご兄弟の場合とはまた違いますが

障害特性のためにどちらかが極端に我慢を強いられることのないように

気を付けているつもりです。

(あくまでつもりです・・全然足りてないカモ)

同じ自閉症スペクトラムでも全くタイプが違う二人で

それぞれの特性のことも話して知っているので

お互いにサポートしあうこともたまにあります。

 

障害の重さなどによってきょうだい児への負担は大きく違うでしょうが

うちも娘の方が圧倒的に手がかかるので

息子がほったらかしになりやすいです。

常に意識しないといけない問題だなあと感じています。

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